抄読会

4月は初期研修医1年目の板垣先生が当科をローテートしてくださいました。今年度最初のローテーターでした。
当科の仕事以外に、医師として覚えることが多くある中で、一生懸命働いて下さいました。
抄読会では、AJKDの「Hyperkalemia-related discontiuation of renin-angiotensin-aldosterone system inhibitors and cinical outcomes in CKD: A population-based cohort study」を読んでくださいました。
蛋白尿があるCKDに有用なRAS阻害薬ですが、高K血症を合併した場合には、RAS阻害薬を中止/減量するか、カリウム吸着薬を併用し、継続するかは、臨床現場で切実な問題です。
カナダの大規模な2つのコホートを合わせた研究(マニトバ、オンタリオ)で、RAAS阻害薬関連の高K血症(5.5mmol/L)を合併した患者が対象で、中止にした群、継続した群に分けて、予後を見た研究です。
RAAS阻害剤の中止は,全死亡(マニトバ:HR,1.32[95%CI,1.22-1.41];オンタリオ:HR,1.47[95%CI,1.41-1.52])およびCV死亡(マニトバ:HR,1.28[95%CI,1.13-1.44];およびオンタリオ:HR,1.32[95%CI,1.25-1.39])の高いリスクと関連があり、また両コホートにおいて透析開始のリスク上昇と関連しておりました(マニトバ州:HR、1.65[95%CI、1.41-1.85]、オンタリオ州:HR、1.11[95%CI、1.08-1.16])。最近同様のstudyがいくつか出ておりますが、それらと矛盾しない結果でした。
(細かい内容は、原著をお読みください。Am J Kidney Dis. 2022 Jan 25:S0272-6386(22)00034-8. )

最初の1ヶ月で、大変だったと思いますが、プレゼンまで上手にしてくださいました。板垣先生、ありがとうございました。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
腎臓高血圧内科部長 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理