コラム

第15回 リンパ浮腫に対する圧迫療法

●圧迫療法とは

圧迫療法には、多層包帯法と呼ばれる何層もの弾性包帯で圧迫する方法と、弾性スリーブや弾性ストッキングなどの弾性着衣を使用して圧迫する方法があります。

圧迫療法は、一定の圧をかけることにより水分の漏れを抑えて、組織間液の回収を促す目的で行われます(図1 静止圧)。一般的には軽度のリンパ浮腫や変形が少ない浮腫の患者様は弾性着衣(図2)を使用し、集中的な排液が必要な場合や、患肢の変形が著しい場合は、多層包帯法(図3)が使用されます。当院では、ICGリンパ管造影検査やリンパシンチグラフィなどの画像検査結果に基づいて、患者様ひとりひとりの身体機能や生活のスタイルに応じて、弾性着衣と多層包帯法を組み合わせて行っていきます。

圧迫圧は、弾性着衣でも多層包帯法でも手足の先端が最も圧が高く、中枢に向けて圧が段階的に弱くなるよう(漸減圧勾配)に設定されます。誤った巻き方や適切な圧がかかっていない場合はかえって症状を悪化させる可能性があるため、リンパ浮腫専門の医療者がいる医療機関で指導をうけることをおすすめします。

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図1.圧迫療法の効果(静止圧)

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図2.弾性着衣の種類

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図3.多層包帯法

●弾性着衣着用時の注意点

弾性着衣は、リンパ浮腫の治療においてもとても重要ですが、誤った装着の仕方をするとかえって浮腫を増悪させてしまったり、皮膚を傷つけてしまったりすることがあります。

チェックポイント

  1. しわがないこと
  2. くい込みがないこと
  3. 重なったり、めくりあがったりしていないこと

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図4.弾性着衣装着時のチェックポイント

上記のチェックポイント(図4参照)を適宜確認しましょう。もし装着して、赤みや痛み、傷などができた場合は、弾性着衣の装着をむりして行わず、セラピストに相談しましょう。