コラム

第12回 リンパ管造影検査結果の基本的な診かたと治療法の選択

当センターでは、リンパ浮腫診療ガイドライン(日本リンパ浮腫研究会編)に基づいて、保存療法・手術を組み合わせ、総合的に治療を行っています。

弾性包帯・弾性着衣およびスキンケアを含む保存療法は、特に推奨度が高く、リンパ浮腫に対する第一選択の治療法です。しかし、保存療法は基本的には対症療法であり、保存療法に抵抗性がある場合には、手術療法を併用することにより生活の質(QOL: quality of life)が向上します。手術療法は、効果の立証されている3つの方法、リンパ管細静脈吻合、リンパ節移植、脂肪吸引から症状に合わせて選択します。(第6回第7回第8回第9回コラム参照)

当センターでは、まずリンパ管造影検査(リンパ管シンチグラフィー、ICGリンパ管造影など)を行い(第5回コラム参照)、その結果を元に、弾性包帯(バンデージ)または弾性着衣(弾性ストッキング)による治療、リンパドレナージ、スキンケアによる治療を開始し、それに対する治療効果を確認します。(すでに理学療法のためにかかりつけ医に通院されており、治療が順調な患者さまは引き続き通院して頂いて問題ありません。)
それでも症状が変わらない、または進行が止まらない方に対して、発症してからの時間、症状、患者さまの希望などを考慮して手術方法を選択しています。

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