プログラム詳細

当院のローテーションスケジュール

 当院では家庭医療専門研修プログラムの認定を受けております。規定に沿ったローテーション(以下ローテ)組を行っており、ローテ先に関わらず週1日"ワンデイバック"を設け、4年間通じて当院で継続外来を続けています。

<ローテーションスケジュール簡易表(2016年度ver.)>
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※1:"その他"研修としてカウント
※2:安房地域医療センターの初期研修修了者は亀田総合病院の内科(選択制)とする

・「総合診療専門研修I」:自施設(KFCT)で行います(計:約2年強)。
キャリアプランに応じてKFCT研修の一部をその他のローテに置き換えることもあります。

・「総合診療II」:安房地域医療センター・さんむ医療センター 各3ヶ月

・「内科」(6ヶ月):KFCT独自ローテ(2)+内科(4:選択制)
 腎臓内科、緩和ケア科の「内科」として1ヶ月ずつ回り、残りの4ヶ月は亀田総合病院および安房地域医療センターの総合内科を含む各専門内科領域から4ヶ月を選択制としています。

・「救急科」(3ヶ月)
 安房地域医療センター(救急患者1500例/月)で1−3次救急を経験します。1−3年次に分けてローテすることで、継続性のあるスキルアップが可能です。症例が多彩かつ豊富なため、4年次でも殆どの研修医が希望しローテしているのが現状です。その他、ローテ期間以外での日当直も車で15分の距離のため可能です。

・「その他」の当院独自ローテ(1.gif):
腎臓内科(透析)、産婦人科、在宅診療部、緩和ケア科、スポーツ医学科
 当院の家庭医として診療を行うにあたり、上記のスキル獲得は必須となります。いずれも亀田総合病院での当該科ローテを終えた後に、当院で"デビュー月間"と称した1ヶ月間を経て独り立ちします。デビュー月間では、上級医がバックアップに入り、翌月から一人で診療できるようサポート・指導する。産婦人科については、近隣の産院(ファミール産院)で1ヶ月追加研修することで、よりプライマリケア医に必要な症例を経験できます。
 また、"院外研修"を3、4年目に各2週間ずつ設けています。プログラム終了後のキャリアプランを考えるためや、足りない科目を補強するため、国内外の研修環境を経験したりなど、各研修医に応じて活用されています。

・4月のオリエンテーション月間(2.gif):"コアレクチャー(以下コアレク)"と"ワークショップ"
 後期研修医1年目は4月に"コアレク週間"とよばれる約3週間を過ごします。外来診療に最低限必要な知識を得るため、新2年目以上〜スタッフが分担・作成したレクチャーをひたすら受講します(表1)。後の外来診療では、プリセプターとの共通言語やガイドラインがあるため双方にとってメリットが非常に高いです。
 2010年からは4月末の土曜午後に『患者中心の医療の方法』についての体験型ワークショップを開催しています。近年では当院の新研修医に加え、安房地域医療センターの研修医も交えた学びとなっており、2016年度は亀田総合病院の研修医も対象者として拡大予定です。

表1)2015年度のコアレク単元(毎年後期研修医がスタッフのサポートを元に単元の内容・数を調整する)

糖尿病、高血圧、脂質代謝異常症、急性上気道炎・中耳炎・胃腸炎、気管支喘息、うつ病、行動変容(禁煙外来含む)、アレルギー疾患、高齢者総合評価(認知症)、介護保険、整形領域(肩腰膝)、予防接種、発達障害、思春期患者の対応、家庭医/KFCTとは(総論)、BATHE、ヘルスメンテナンス、EBM/ガイドライン

その他、充実した勉強会や多職種カンファレンス、指導体制やフィードバック機構があります。10年以上の歴史があるこそ、淘汰され洗練されたシステム・研修環境を是非一度見学で見に来てみませんか!

研修医への教育環境

 後期研修医の各年度別の目標を設定し、KFCTグラウンドルール(10ヶ条)を医局に掲げ、タイムマネジメントや業務改善意識などを持たせる工夫を行っています(内容を知りたい方はぜひ当院の見学へ!)。2011年度からは研修手帳を用いてポートフォリオ事例や経験すべき手技一覧をチェックするように試みています。下記ADMや振り返りの会、メンター制度を利用してそれら達成度の確認などを行っています。当院で行っている研修医教育における工夫の一部をご紹介します。

・各種勉強会
 当院10年以上にわたる歴史の中で生まれた勉強会は実に多岐にわたり豊富です。年度末に毎年勉強会スケジュール担当を決め(主に後期3年目)、皆の意見を反映させ、淘汰させてきた結果、現在の形に落ち着いています。今もなお毎年研修医の活発な発案により素晴らしい勉強会へと進化したり新しい会が開かれたりしています。

<診療スキルアップの勉強会>

・ポートフォリオ勉強会(レジデントがポートフォリオをパワーポイントで発表):週1夜
・小テスト(米国家庭医療専門医試験をもとに、後期研修4年目が中心となって和訳・解説を加えて作成。
 事前にメールで問題提出、勉強会当日にクイズ形式で解説を行っていく):月1昼
・モーカン(疾患テーマ毎にレジデントが最新のエビデンスをまとめて発表):月1昼
・スタッフレクチャー(岡田院長を始め、指導医が行う各分野にわたるレクチャー):月1昼
・入院症例カンファ(当院から他院へ入院になった患者をレビューし学びを深める):月1昼
・緩和ケアカンファ(亀田総合病院 疼痛・緩和ケア科・在宅医療部医師とテレビ電話で症例相談):週1夕方
・透析カンファ(透析に関する勉強会、患者シェア 亀田総合病院の腎臓内科医がスーパーバイズ):月2昼
・マタニティケアカンファ(当院通院中の妊産婦についての症例シェア+勉強):月2昼

<多職種の勉強会>

・リハビリカンファ(リハビリをテーマとした多職種勉強会):月1回昼 医師+リハビリ
・多職種在宅カンファ(在宅患者に関する情報共有):月2回 医師、訪問看護師、訪問リハビリ、ケアマネ
シェアカンファ:臨床倫理の4分割を用いて在宅患者一人について、多職種で情報共有する
デスカンファ:亡くなった患者様を多職種で振り返る。グリーフカードを送付している。
・安房地域医療センターカンファ(当院から入院となった症例についてのSkypeを用いた情報共有):週1夕方
・小児リハカンファ(発達障害児に関わる医師、養護・学校教諭、通所施設職員などの多職種カンファ):月1回
・思春期勉強会(中学校養護教諭、心理カウンセラー、医師を交えた多職種勉強会):月1回 朝
・バースレビュー(当院通院歴ある妊婦から出産した母子症例のレビュー):不定期 etc. 医師+助産師
・サエラカンファ(当院院外薬局(サエラ)薬剤師との情報共有):月2回 医師+薬剤師 etc.
・安房医療ねっと(安房地域の医療・介護・福祉・行政の多職種が集まる勉強会):2−3ヶ月に1回

<月間勉強会カレンダー(例:2016/1月ver 一部修正)>

1 2
3 4
昼:岡田Drレクチャー
5 6 7
昼:サエラカンファ
夕:ポートフォリオ勉強会(Sr3)
8
昼:在宅カンファ
(デスカンファ)
9
10 11 12
朝:思春期勉強会 夕:ポートフォリオ勉強会(Sr3)
13
昼:小テスト
14 15
昼:非常勤スタッフレクチャー
16
17 18 19
昼:リハビリカンファ
20
昼:透析カンファ
21
昼:マタニティカンファ
+サエラカンファ
夕:ポートフォリオ勉強会(Sr2)
22
昼:在宅カンファ
(シェアカンファ)
23
24 25
昼:入院症例振り返り
26
夕:小児リハビリカンファ
27
昼:院外研修発表(Sr3)
28
夕:ポートフォリオ勉強会(Sr3)
29
昼:1月ローテーター(安房地域医療センター)の研修発表
30

・ポートフォリオ勉強会
数ある勉強会の中でも、研修医スタッフともに熱い思いが込められているのが、このポートフォリオ勉強会です。ポートフォリオ提出が義務付けられた2009年に当時のスタッフが始めた勉強会です。ポートフォリオになりそうなケースや事例をパワーポイントで発表し、実際のポートフォリオに仕上げるためにはどうすれば良いか、皆でディスカッションを行います。専門医試験対策になる以上に、岡田院長から発信される家庭医療の理論的基盤やシステム理論など様々な知見・学びがシェアされ、全国的にみても稀有な、非常に価値の高い勉強会であると考えます。

・レジデントミーティング
 2012年に当時の後期研修医3年目の発案で始まった、月1回夜19時頃から当院後期研修医が"全員集合"する会です。後期研修1、2年目は他科・他院ローテーションが主で、家庭医としてのアイデンティティを喪失しやすい年代です。そのため、他科研修中でもこの日ばかりはレジデント全員が顔をあわせ、各自の学びや悩みを共有し、当科の今後としての方向性について語り合える時間となっています。
 ここでは、主に研修先での学びやコツ、内部事情などを共有し、各科ローテーションサバイバルノートと称される共有ドキュメントを更新することで、次のローテーターへ引き継ぎを行います。それ以外にも研修医から新たな活動や勉強会の提起、指導医から専門医制度の進捗状況の共有、他科から当院へのローテーターの情報共有、年度末には新年度の役割分担など実に様々な議論を行う場となっています。開催当初は議題事項が多く長時間となり疲労感が否めなかったが、最近では議題に要する時間を提議者が決め、後期3年目がファシリテーションすることで、タイムマネジメントされ随分短縮された。終了後は各学年で食事にいくなど、公私双方の面で良い機会となっています。

・レジデントデイ
 2015年11月にはじめて開催された"レジデントデイ"は、後期研修医4年目の発案です。普段、他科ローテでレクチャーやポートフォリオ勉強会に参加できないというレジデントの声を反映させ、他科ローテ中でもレジデント達が参加しやすい土曜午後の時間を利用し行う集いです。第1回の内容は岡田院長のレクチャー、拡大ポートオフォリオ1例、外来ビデオレビュー(後期研修医2年目)2例を主とし、終了後は希望者で懇親会を行った。参加人数が20名以上に至るため、小グループ制とし、各グループに指導医層をおきファシリテーションする仕組みで非常に円滑に有意義な時間となりました。学年を超えて学びを共有する時間はかけがえのないものであったとの声が大きく、大好評につき、今後も後期研修4年目を中心に、年2−3回のペースで開催予定です。

<写真>レジデントデイの光景 〜拡大版ポートフォリオ勉強会(シニア4年目の発表)〜

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指導医の配置

・当院常勤指導医:5名(全員家庭医専門医・指導医を保有)
・当院非常勤指導医:3名
・連携施設のスーパーバイザー(腎臓内科・産婦人科各部長 指導訪問あり)
 全日"プリセプター"という指導医を常時1名設け、外来診療全般、透析、在宅診療、妊婦検診、婦人科診療など幅広い指導に応じています(非常勤指導医は可能な範囲での指導)。半日ずつの担当で、プリセプティングの傍らで外来診療のヘルプ要員として兼任することも多いです。
 指導医のバックグラウンドも多様なため(公衆衛生、感染症、エコー、整形診療、妊産婦ケア、ウィメンズヘルスなど)、その時間のプリセプターで対応困難な場合も、その他の指導医を通じて解決することが殆どです。
 中でも透析および妊婦・婦人科診療についての専門性の高い事案については、亀田総合病院の各科部長が常にスーパーバイザーとして相談に応じてくれるため、電話相談のハードルも非常に低いです。