WONCA(2017.11/1〜4)

当院の坂井医師がタイへ交換留学に行って来ましたので報告させていただきます。

この度日本プライマリ・ケア連合学会からサポートをいただき、FM360 パタヤ訪問プロジェクトに参加させていただきました。FM360とはWONCA(世界家庭医療機構)が公認する、海外でのプライマリ・ケアの経験を希望する若手家庭医のための国際的な交換留学プログラムです。今回のプロジェクトでは2週間タイに滞在し、診療所見学とタイ・パタヤにて開催されたWONCA APR conferenceに参加させていただきました。今回はAPR(Asia Pacific Region)というアジア・太平洋地域の学会であり、アジア各国を中心に、世界中の家庭医がタイに集まりました。

海外の学会と言ってもとてもアットホームで、閉会式ではタイの伝統的なダンスや歌を参加者たちで楽しむなど、とても和やかな雰囲気でした。また、若手医師の集まりも多くあり、タイをはじめとして韓国、台湾、香港、イタリア、ポルトガルなど世界中の若手の家庭医と様々な意見交換をさせていただきました。

タイでは2001年頃に国民皆保険制度が導入されましたが、人口増加に伴い地方を中心とした医師不足が深刻で、今後タイ保健省が主導して家庭医を10年で10倍に増やし、地域医療をサポートしていこうという流れがあるそうです。実際に今回診療所見学に伺ったコラート州でも、PCU(Primary Care Unit)と呼ばれる診療所・保健所の機能を持った施設があり、家庭医を中心に看護師・Care Giverと呼ばれる介護職員など他職種がチームを作り、地域住民に医療を提供していました。

日本でもあらゆる患者さんに医療を提供するために、私たち家庭医が積極的に多職種と連携していくこと、プライマリ・ケアの現場で家庭医に何ができるのか、地域に求められていることは何かを考えることが大切と改めて感じました。また、タイの抱えるプライマリ・ケアの課題は日本でも共通している部分が多く、今回の訪問を経て、改めて日本の医療についても見つめ直すとても良い機会になりました。

今回の経験を、日々の診療にも生かしていきたいと思います。

(文責:専攻医2年 坂井雄貴)

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このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学