バイタル不安定な患者に対する外来診療

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救急医療

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〇一般診療所外来に受診したShock vitalを呈した高齢者の診療を通じた経験を発表しました。看護師によるトリアージから迅速に対応し、高次医療機関への搬送含め、スムーズな診療を行う事が出来ました。その要因としてAdvance care planningを定期外来で取っていたこと、Key personや普段の状態などを把握することが出来たことなどが挙げられました。一方で、ヒヤヒヤする思いがあり、その感情についての考察を深めました。急患・急変時の対応を構造化したRapid response systemの存在を知り、その概念を持って対応することでよりスムーズに周囲に協力を求めるなど、安定して方針決定を出来るのではないかと考察しました。

ディスカッションでは、同じ主訴でも定期受診とOpen受診の対応では、セッティングによる事前確率を意識して選別しているという意見もでました。医療者自身の経験も対応する患者へのアクションが変わってくるという意見もあり、自身が小児科出身であることの経験などの話も出ました。また、Rapid response systemやトリアージシステム・緊急コールシステムなどを含め、包括的にシステムを改善していく緊急対応検討チームが必要かもしれないという意見も出ました。

岡田先生より、ポートフォリオを作成する上で、患者の状態の把握や対応にかかった時間の測定などの指標を用いて、そのセッティングでの対応の迅速さなどを評価するとよりよい仕上がりになるとの指摘がありました。リスクに対しては2つの視点で考える必要があり、起こる可能性、起こったときにインパクトを分ける視点が必要とのことです。施設ごとに立場は変わってくるため、費用対効果のバランスを取ることが難しいとの話でした(診療所に緊急医療対応チームをおくメリットなど)。また、チームにはエンジンとブレーキが必要であり、俯瞰して全体をマネジメントする「状況監視」という役割が必要であるとの、チームビルディング上の要点も教えていただきました。
お疲れ様でした。

(引用文献)
Howell MD, et al. Rapid response system. In: UpToDate, Post TW (Ed), UpToDate, Waltham, MA. (Accessed on November 01, 2017.)
Dechert TA, et al. Medical emergency team for the non-hospitalized patient. Resuscitation 2013; 84(3): 276-9.

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学