プロフェッショナリズムについての枠組み

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プロフェッショナリズム


〇伊豆倉先生の初めてのポートフォリオでした。救急外来の初診から入院担当をした症例についての発表で、担当を終えた後もつづくもやもやした感情について考察してくれました。

高齢認知症の患者の代理意思決定の困難さに直面した事例を語ってくれました。関係者の中でのキーパーソンが誰なのかということが不明確な中、意見の違う関係者との方針決定の難しさに頭を悩ませていました。病状説明の中で「患者にとって何が最善であるか」「この人ことをどれだけ考えているのか」「医療側としての判断は正しかったのか」というもやもやとした感情を払拭できずにいました。代理意思決定のプロセスや基準を文献から考察し、学びを深めました。その中で最終方針の決定に際して、関係者が各々の価値観をぶつけ合ったプロセスが大切であったのかと考察しました。今後自分ができることとして、外来でもACPを行っていく中で代理意思決定者などの話をすることなどを挙げていました。

ディスカッションでは「もしも倫理的に許容されるとしらどうしたか?」という障壁を取り除いて本心を考えてみる問いかけや、家族図などを用いて「広義の家族」の可能性を探ってみる・倫理委員会の力を借りるという方法も上がりました。また、アルコール性依存症の肝硬変のケースなど関係者のコンテキストを踏まえると、代理意思決定者の決定にも注意が必要ではないかという考えなど、参加者の経験したケースなどをもとにディスカッションも盛り上がりました。まとめに周囲のシステムへの働きかけの必要性や、ポートフォリオに仕上げていく上で「プロフェッショナリズムについての枠組み」を考察として加えることが提案されました。
経過図に乗せた非常に整った聴衆のことをよく考えた発表でした。

本日の岡田先生の一言:
「もやもやが起こったとき・起こりそうなときに、世界中の全知をもってしてももやもやするものなのか、自分の無知のためにもやもやしているのかを区別しましょう。徹底的な事実の確認をすることで、受け入れられるものもあります。」

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学