第三世代フルオロキノロンとアキレス腱断裂との関連:自己対照ケースシリーズ(2021年5月)

ジャーナルクラブ(2021/05/13)
文責:金久保祐介

1 タイトル

Association Between Third-Generation Fluoroquinolones and Achilles Tendon Rupture: A Self-Controlled Case Series Analysis

Takashi Chinen, Yusuke Sasabuchi, Hiroki Matsui and Hideo Yasunaga
The Annals of Family Medicine May 2021, 19 (3) 212-216
DOI: https://doi.org/10.1370/afm.2673

キーワード:fluoroquinolone, antibiotics, adverse effects, Achilles tendon rupture, tendon injuries, self-controlled case series, precision medicine

2 概要とコメント

今回の論文は2021年5月のThe Annals of Family Medicineに掲載された日本発の記事です。

第一世代、第二世代のフルオロキノロンがアキレス腱断裂と関連することはこれまでに報告がありましたが、ガレノキサシンやシタフロキサシンなどの第三世代のフルオロキノロンがアキレス腱断裂に関連するかどうかは不明でした。また、今までの研究では個人間の交絡因子(年齢、性別、腎不全、副腎皮質ステロイドの使用など)をうまく調整できていなかったことが問題でした。

今回の研究は第三世代フルオロキノロンがアキレス腱断裂と関連しないこと(同時に、第一、第二世代フルオロキノロンは従来の知見どおり関連すること)を自己対照ケースシリーズで検証しており、個人間交絡因子の問題をクリアしています。概してロジックが明確でわかりやすく読みやすいし、なにより自己対照ケースシリーズのデザイン自体が美しいなと感じました。リアルワールドデータを用いた日本発の研究にますます注目が高まりますね!

※その他、5月13日のジャーナルクラブで扱われた論文は下記の通りでした。
Leve V, et al. GPs' awareness of car driving among oldest patients: exploratory results from a primary care cohort. BJGP Open. 2021;5(2):BJGPO.2020.0145. DOI: https://doi.org/10.3399/BJGPO.2020.0145

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学