離島医療×亀田家庭医 張耀明

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post301_0.jpg-離島と家庭医の親和性についてどう思われますか?
親和性しかないと思います。離島は家庭医としての能力が十二分に発揮出来る場所だと思います。

-具体的にどのような点ですか?また、何をきっかけにそう感じましたか?
島の全てに関わることで感じます。具体的には、園医、学校医、産業医、島全体の政策(例えばコロナの医療的な側面全てに関わるなど)、「新島」に住んでいる全ての人に関わっています。島の全てに関わることは、私が家庭医として学んできた全てのものを総動員しても足りないくらいですが、学んできたことを余すことなく使うことが出来ます。

-そんな先生が「離島」に興味を持ったきっかけは何だったのですか?
初期研修医時代から家庭医療学に興味があり、家庭医療をするなら離島やへき地がよいと思っていました。

-都市部ではなく、あえて離島やへき地なのはどうしてですか?
初期研修医から離島に行きたかったんです。フリーアクセスの日本では、自分の働く場所によっては診療の幅が狭まってしまいます。研修を通して幅広い診療を学んでいますが、実際はその全てを使っているわけではありません。私は幅広い診療を続けたいと思い、1人の家庭医としての能力が最大限に発揮される場所が離島だと感じたので離島を選びました。
ただ、幅を広げればスタッフなど医療資源に負担がかかってしまいます。私がいなくてもずっと継続できるように、現実的には診療の幅を意識して設定しています。自分が去った後にも続くように費用対効果や持続可能性(後任が受け入れられるレベルか)、実際に島で必要とされているものかを考えて診療の幅をあえて広げすぎないようにしています。

post301_1.jpg-「離島医療」の魅力とは?
やはり家庭医にとって「村の全てに関われること」です。地域住民や診療所の職員と診療だけでなく、健診、訪問診療、村の行事など、様々な場面で出
会います。医師-患者の関係だけでなく、店員と客の関係であることもあり、自分が村のシステムの一員であることを実感できます。良い面としては、自分が全てに関われることがありますが、悪い面として「張先生がいないと」と依存的になることもあります。理想は「張先生でなくてもいい」くらいだと思っています。自分がシステムの一部になって影響力が大きすぎるとよくないので、自分が気を付けていることとして、へき地・離島のメインは看護師さんであるべきだと思っています。

「張先生でなくてもいい」が理想

-先生は日本の総合診療医・家庭医にどうなってほしいですか?
今後の日本の問題点として、「高齢者」、「老年医学」、「多疾患併存(特に下降期の慢性疾患)」があると考えていて、「診断がついていないという不確実性にたえること」、「やりくりする力」、「中腰力」、「健康因子・健康観を拾い上げること」が重要になってくると思います。

-今後の野望はありますか?
特にありませんが、新島を卒業しても何らかの形で新島はじめ離島医療に関わりたいと思っています。

-家庭医と迷っていた科はありますか?
家庭医療を知る前は総合診療科を考えていましたが、家庭医療に出会ってからは、これだと思って一途に追い求めています。

post301_2.jpg-先生が「家庭医」に興味をもった理由は何ですか?
また、亀田家庭医を選んだきっかけは何だったんですか?
私は小児喘息でした。「町のお医者さん」にかかっていましたが、その先生は小児から成人までみていました。その先生がやっているようなことをや
りたかったというのがきっかけです。もともと医学生のときに家庭医という言葉は知りませんでした。学生の時に京都の音羽病院の総合診療科を見学して先生に相談したところ、「家庭医」を教えてもらって、研修先をインターネットで検索したときに亀田家庭医の存在を知りました。初期研修医の時からマッチングで亀田を選んでいましたが初期はマッチせずに後期研修で改めて採用いただきました。亀田ファミリークリニック館山を見学した時に、外来で90代の患者さんを診察後に生後数ヶ月の乳児を診察されておられて、単純にすごい、かっこいいと思って選びました。

-実際に、亀田家庭医で研修をしてみてどうでしたか?
「家庭医療学」は単に広いとしかわかりませんでしたが、学び始めるとうれしい驚きでいっぱいでした。家庭医が実践されている診療場面だけを切り取って見ると、その背景の理論や概念が見えませんでしたが、家庭医療の専門用語が普通に飛び交い、家庭医療学というものの深みを感じ、それらが言語化されていくことがとても嬉しかったです。

-亀田家庭医で学んだよかったことは?
同じ家庭医を志す仲間が多いことですね。医局でも先輩、同期、後輩の先生方がみんな家庭医なので、悩むことも似ていて親身になってくれます。

-家庭医をやっていてよかったなと思う瞬間は?
「家庭医の張です」と名のれるところです。家庭医が世の中で一番かっこいい仕事だと思います。

家庭医は世の中で一番かっこいい仕事

-専攻医としての生活はどうでしたか?その経験は今の自分にどんな意味を持っていましたか?
亀田総合病院をローテーションしますが、それぞれの科が私たち家庭医に理解を示し、多くのことを教えてくださいました。当時記録したノートが離島診療でも役立っています。

-あなたにとって亀田家庭医とは?
ホームグラウンドです。共に研修をした仲間たちが世界で頑張っていると思うと踏ん張れます。

-未来の亀田家庭医にメッセージをお願いします。
「亀田家庭医」という選択は間違いありません。そしてその先の選択肢も無限に広がっています。ぜひ亀田へ。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学