はじめてのもやもや

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臨床倫理の4分割法、医療倫理の4原則

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2/20は、専攻医1年目である塚原先生の初めてのポートフォリオ発表会でした。ローテーションが多く慌ただしい1年目ですが、様々な立場での診療を経験することができます。コンサルタントもその一つであり、今回の症例は感染症科研修で経験したものでした。

肺結核で入院されている90代女性に対し、感染症科の立場から担当しました。今まで経験してきた主科としてではなく、コンサルタントとしての関わり方に戸惑いを感じました。
しかし、徐々に患者さんの生い立ちやご家族についてなど、治療内容や病状に限らずコンテキストを知ることが出来ました。

多剤併用治療による副作用で患者さんの病状は悪化し、嚥下困難となり、治療方針を再検討する分岐点に立ちました。臨床倫理の4分割法や医療倫理の4原則を用い、事例の検証を行いました。そして、自分の意見を上級医に相談し、主科と相談する機会をもちたいと考えていました。しかし、患者さんの病状悪化は早く亡くなられてしまいました。

今回の経験を通して、治療決定の過程で多角的な評価が必要である点、関係者内で議論する場と方針を共有する必要性を感じました。また、評価方法として臨床倫理の4分割法、医療倫理の4原則があることを知りました。Next Stepとして、もやもやの原因を探索するツールとしてこれらの枠組みを使ってみることを挙げました。

発表後のディスカッションでは、コンサルタントという立場の特性を踏まえた連携方法、自分が主治医だったらどのような対応をしていたかということが話題にのぼりました。
「自分が守らなくてはならないものは何か?」「各スタッフが葛藤していたものは何か?」
上級医からの鋭い質問に、改めてプロフェッショナリズムを問い直されました。

今回の発表では、総合診療医だからこそ着目できる点を、関係スタッフと共有していく言語化のプロセスと枠組みに加え、根底にある私達一人一人のプロフェッショナリズムを問い直す機会となりました。

参考文献:臨床倫理の4分割法 A.R.ジョンセン
医療倫理の4原則  
『急に具合が悪くなる』宮野真生子、磯野真穂著

文責:専攻医2年 高岡沙知

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学