病棟医としてもう少しできたこと

エントリー項目

終末期

Key word

緩和ケア、shared decision making


◯専攻医2年の常石先生のポートフォリオ発表会でした。
半年前まで仕事も精力的に行っていた73歳独居の男性。約半年前からの食欲不振から他院でスキルス胃癌、腹膜播種の診断となり、治療奏功せず、在宅緩和目的に紹介となり担当した患者さまでした。紹介の際の紹介状には至極簡潔な情報しか記載されておらず、1-2週単位の予後と予測・判断し疼痛コントロール、腹水管理と介護環境調整を急ぎ、2回目の訪問診療の際には意識状態も傾眠傾向の中、家族の想いにも目を向けながら、4日間という短くも濃密な関わりの中で医学的に妥当なマネジメントを目指した症例でした。

ディスカッションでは、終末期の依頼の在宅の場で、本人に予後予測を伝えることの難しさ、初回の10分間の関わりの中でどこまでをshared decision makingするべきだったかフロア内で検討しました。
指導医の岩間先生からは、もし2日目に本人と話が出来る意識状態だったらどんな言葉や関わりで出来たかという仮定の質問から、短い関わりの中でどこを大切にしていくかについての発表者の内省を促す場面や、前医との関わりの不全感を当院と病院との在宅導入においてどこを譲れないポイントとして導入の際の情報項目としているかの話にも広がりました。
病院-クリニックと両方の場面で同じプログラムの人間が関わることの貴重さも再確認できた発表でした。

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学