プライマリ・ケア外来におけるAdvance Care Planning聞き取り状況

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研究

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ACP、外来、カルテレビュー


専攻医2年目の河田による「研究」発表でした。

近年、ACPの重要性は認識されつつあり、我が国においても厚生労働省を中心に各種の調査・研修が行われており、その普及が図られている。2017年には、デルファイ法によるACPの定義の再検討がなされ、終末期だけでなく、いずれの健康状態にある成人も対象となり、本人の状態により変更されうる「過程 process」と定義された。ACPの内容として、個人の人生の目標、価値観、医療的ケアの意向を含み、代理意思決定者 Surrogate Decision Makerの決定も望ましいとされた。
患者の健康状態によらず継続的な関わりをもち、本人のみならず家族までも視野にいれて診療にあたるプライマリ・ケア外来(PC外来)は、ACPを行うのに理想的な場と考えられる。諸外国ではprimary care settingにおけるACP実態の研究は少数あるが、日本での先行研究は行われておらず、我が国のPC外来におけるACPの実態は明らかでない。本研究では当院の定期外来カルテをretrospectiveにレビューすることで、その実態を明らかにすることを目的とした(研究詳細は、学会などで発表予定のため割愛)。

ディスカッションポイントとしては、以下の事項など挙げられた。

  • 研究のモチベーションは何か?は、ポートフォリオとして提出する場合は重要なので明確化すると良い。
  • 当院だけでの調査が日本の実情を反映しているとはいい難いため、ぜひ多施設研究・比較を行って欲しい。
  • 医師間のばらつきが大きいのではないか。
  • データの質を担保するため、明確な定義と、調査方法の明確な記載、分類のチェック方法(複数人によるチェックなど)を取り入れる必要がある。

参考文献

1)Defining advance care planning for adults: a consensus definition from a multidisciplinary Delphi panel. J Pain Symptom Manage. 2017;53(5):821-832.e1. doi: 10.1016/j.jpainsymman.2016.12.331.
2)Aitken PV. Incorporating Advance Care Planning into Family Practice. Am Fam Physician. 1999; 59(3): 605-612.
3) Advance care planning in primary care, only for severely ill patients? A structured review. Fam Pract. 2015;32(1):16-26. doi: 10.1093/fampra/cmu074.
4) Barkley A, Liquori M, Cunningham A, et al. Advance Care Planning in a Geriatric Primary Care Clinic: A Retrospective Chart Review. Am J Hosp Palliat Care. 2018. doi: 10.1177/1049909118791126.
5) O'Sullivan R, Mailo K, Angeles R, et al. Advance directives: survey of primary care patients. Can Fam Physician. 2015; 61(4):353-356.
6) 岩田健太郎. 総合診療外来におけるadvance directive取得の実態. 家庭医療. 2008; 14(2): 18-24.

文責:河田

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学