西先生 8月ローテの振り返り

地域ジェネラリストプログラム2年次の西先生が8月に1ヶ月ローテしてくれました。

研修終了発表 「Family Medicine and Death」

腫瘍や緩和ケアへの興味を入職当初より言っていたのだが、なぜ終末期に興味があるのか?
これまでの研究や仕事での経験、臨床実習で得た「生きてきたように死んでいく」という実感
その中で、科学の進歩にもかかわらず、死が非人間化され、qualityが上がっていかない現状。
そこに対して「なんとかしたい!」という気持ちが原動力だった。

実際に医者になってみると、月ごとのローテーション、入院管理では「退院がゴール」になってしまう現状。ただ、その中でも肺炎で入院した妻を献身的に見舞う夫の姿勢に触れるなどを経験し、こういう人々を地域で支える医療をしたいと思うようになった。

初期研修医として2回目のファミリークリニックローテーションは「総合診療」との向き合い方がモヤッとしたままであった。特に小児や青年期は、自分以外の人が見てくれたらいいなぁと思っていた。

在宅で癌患者さんの訪問へ同行。
はじめてお会いする自分としては、十分なコミュニケーションが取れなかったと感じたが、ご家族は満足そう。
機会に恵まれ、同じ患者さんの在宅看取りにも同行。
やはり満足そうなご家族をみて、医師個人との関係性だけではなく、患者・家族を支えているのではと思えた。残された時間をどう過ごせたか、が改めて重要だと感じた。

遺族ケア外来にも参加し、亡くなって時間が経っても、残された家族の中では故人が「生き続けている = 死に続けている」ことを実感した。

これらの経験から、死はある一時点ではなく、その前も、その後も連続性をもったものではないかと感じるようになった。さらに、そこに至る、生まれてから、成長し、家族を作っていく家庭も、死と連続したものという「死の連続性 continuity」の視点が得られた。

これまで興味を持っていた腫瘍内科・緩和ケアは発病から看取りまでを担うが、総合診療医として乳幼児から元気な若いときもみることは、終末期を支えることなのではないかと思えるようになった。

来年以降の後期研修では、死の準備教育(若年者へのアプローチ)、Advance Care Planning普及活動、Survivorship care planの普及にも取り組んで見たい。

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当初の目標通り、担癌患者さんの訪問診療・お看取り・遺族ケアを経験できたのも、西先生の思いの強さだったのかなと感じました。モヤモヤに少し言葉が与えられた1ヶ月になったようで、こちらも嬉しいです。
腫瘍×総合診療、終末期×総合診療の可能性は非常に大きく、来年度以降も活躍を期待しています!

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このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学