「コンセンサス」と「ディスセンサス」

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家族志向のケア

キーワード

意思決定支援、終末期ケア、ケア会議、VBP (value based practice)

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○アルツハイマー型認知症、腎不全のある77歳女性。日中は小規模多機能施設、夜間は独居の生活を送っていた。医療は在宅診療を行っていた。腎不全の終末期に関する療養の仕方の方針を決めるため、ケア会議が開かれた。ケア会議の参加者は、東京在住の長男夫婦、在宅診療医(発表者)、小規模多機能施設職員兼ケアマネであった。ケア会議のやり方として、『家族志向のプライマリ・ケア』という本を参考にした。ケア会議を行う前、患者や患者家族、施設職員の今までの思いや、それぞれの関係性について情報を確認した。ケア会議によって、状態悪化時は小規模多機能施設を利用する。施設での宿泊が難しいときは、長男夫婦や近所の人が患者のケアを行うということになった。考察として、医療者の価値観も含めた意思決定支援の方法としてVBPの適応について議論した。

勉強会全体での議論では、意見の折り合いを行う段階での過程、家族からの歩み寄りがなかった場合にどう対応したか、ケア会議の参加者が他にいたのではないかという話題が出た。その他の議論として、患者の夫を看取るときに長男夫婦があまり関わらなかったことや、腎不全の終末期にPCAを使うかどうかなどについても話があった。

文献:

S.H.McDaniel著. 家族志向のプライマリ・ケア
大西弘高翻訳. 価値に基づく診療 VBP実践のための10のプロセス

このサイトの監修者

亀田ファミリークリニック館山
院長 岡田 唯男

【専門分野】
家庭医療学、公衆衛生学、指導医養成、マタニティケア、慢性疾患、健康増進、プライマリケア・スポーツ医学