フェローによるGrand Round

12月頃から感染症科ではフェロー持ち回りによるGrand Roundを行っています(毎週開催を目標としていますが、2週間に1回くらいの頻度での開催となっています)。本日は、成田赤十字病院から当院感染症科に2ヶ月間来て頂いている水戸先生の「開放骨折における予防的抗菌薬投与 - アミノグリコシドを中心に -」についての講義でした。

総説やガイドラインで、開放骨折後の感染予防で、セファゾリンとアミノグリコシドの併用が推奨されていることがありますが(最新のUpToDateではアミノグリコシドの記載がなくなっています)、1974年の小規模(かつ質の高くない)研究の結果が、歴史的にずっと引用され続けていることがわかりました。臨床dataに基づいているというよりは、S. aureusのほかにグラム陰性桿菌もカバーして、想定される微生物をきちんとカバーしましょう、というコンセプトのようです。そのため、副作用が比較的多く、嫌気環境では効果が発揮できないアミノグリコシドを使用するよりは、セフメタゾールやアンピシリン/スルバクタム、セフトリアキソンなどを使用すればよいと考えます。

重要なコンセプトは、Gustilo-Anderson open fracture grading type IIIの場合、MSSAに加えてグラム陰性桿菌もカバーすること、さらに、水や土への曝露の有無(前者の場合は緑膿菌カバーを考慮、後者の場合は、ペニシリン系での治療を考慮)を確認して、想定される細菌に対する最適な抗菌薬を選択すること、であると考えます。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育