Mycobacterium kansasiiの治療

「Mycobacterium kansasiiの治療」について調べてみました。

<治療対象>

  • 基本的に治療対象(放治すると悪化する、病型は結核に似る)

<薬剤感受性>

  • 薬剤感受性試験については、CLSI M24に記載あり
    最初に測定するもの:RFP、CAM
    ただしUpToDateの著者の意見としては、RFPのみ
    RFP耐性の場合に測定するもの:
    AMK、EB、Moxi、ST、INH、SM
    ただし、INHとSMはbreakpointは設定されていない
  • key drugは、リファンピシン(MACとは異なる)
  • 治療失敗は、通常リファンピシン耐性と関連する
  • リファンピシン耐性のリスク:リファンピシン治療歴
  • イソニアジドは結核の基準の場合、耐性と判定されることが多い。結核の薬剤感受性試験は、0.2 mcg/mlと1 mcg/mlで測定。低濃度耐性(0.2 mcg/mlでR)の場合、多剤耐性TB以外ではINHは使用しない。M. kansasiiのINHのMICは0.5-5.0なので、結核の基準だとRと判定される。
  • M. kansasiiは、RFP感受性であれば、INHのMICは、治療成績に影響ない
  • RFP、CAM、LZD、Moxi、EBの感受性は非常に良好

<治療薬>

  • 治療レジメンは、歴史的にHREが行われてきた
    INH 5mg/kg、RFP 10mg/kg、EB 15 mg/kg
    以前は、最初の2ヶ月はEB 25 mg/kgが推奨されていた(今は非推奨)
  • 治療レジメンを比較したどの研究もN数は少ない
  • 治療についてのRCTは存在しない
  • 小規模ながら、RE-CAMの成績はかなりよい
    R 600mg/日, E 15mg/kg/日, CAM 1000mg/日
    これを検討した研究:週3回投与、喀痰培養陰性から12ヶ月治療

<治療期間>

  • 喀痰培養陰性確認から12ヶ月以上が推奨されている
  • 喀痰培養陰性から9ヶ月のREPとEMの2剤併用治療では再燃が10%
  • HRE毎日投与12ヶ月、RE-CAM 週3回投与12ヶ月で再燃ほとんどなし、という観察研究が存在する(RE-CAMを毎日投与した場合は、12ヶ月必要かどうかは不明)

<参考文献>
Chest 2017;152(1):120-142
Chest 2006;129:771-776
J Antimicrob Chemother 2005;55:950-953
Antimicrob Agent Chemother 2004;48(12):4562-4565
Clin Infect Dis 2003;37:1178-82
Thorax 1996;51:1248-1252
Tubercle and Lung Disease 1995;76:104-108
Am J Respir Crit Care Med 2007;175:367-416
Thorax 1994;49:442-445
Am Rev Respir Dis 1987;135:10-16
Am Rev Respir Dis 1983;I28:1048-1050

このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育