予防医学の薦め 亀田クリニック 総合内科・家庭医診療科かかりつけで成人の患者さまへ

最終改訂:2022年7月25日

下記は科学的根拠と治療指針に基づいた検診項目です。症状がなくてもより健康で長生きをするために、対象の方にはお薦めします。
ただし、症状や病気がある際の保険診療とは異なり、予防医療は原則自費診療です。市区町村健診や人間ドックを活用し、担当の医師とよく相談して下さい。


総合内科・家庭医診療科医師より

予防接種(※1)

肺炎球菌:65歳以上もしくは持病のある方に(心、肺、肝、腎、糖尿病等)、生涯で1~2回
インフルエンザ:全ての方に。毎年
破傷風:全ての方に。初回は3回、その後10年毎(百日咳予防を兼ね三種混合で代用も推奨)
B型肝炎:19~59歳の全ての方と60歳以上の高リスク(慢性肝疾患、糖尿病、透析、B型肝炎患者の家族、医療従事者等)の方
A型肝炎:慢性肝疾患・B型/C型肝炎の方等に
HPV:子宮頸がん・肛門がんの予防目的、特に26歳以下の女性・男性に。接種が無料となる場合あり
帯状疱疹:50歳以上で遺伝子組み換えワクチン2回推奨。次善の策は60歳以上で生ワクチン1回
麻疹・風疹:接種していない方(特に40~50代男性)、抗体検査・接種が無料となる場合あり
新型コロナウイルス:5歳以上の全ての方に(2022年7月時点)
注:ほかにも海外(特に途上国)に行く予定がある方は担当医と相談して下さい。

がん検診(※2、 胃がん検診のみ※3、子宮頸がん検診は※2・※3併記)

大腸がん:45歳~75歳(便潜血毎年[2回法]か、大腸内視鏡3~10年毎)家族歴があれば要相談
胃がん:50歳以上(胃バリウム検査を1~3年毎か、上部消化管内視鏡を2~3年毎)
乳がん:50歳[もしくは40歳]~75歳(マンモグラフィーを2年に1回)家族歴があれば要相談
子宮頸がん:性交開始後21歳~65歳(子宮頸部細胞診を3年[2年]に1回か、HPV検査5年毎±細胞診)
肺がん:50歳~80歳、喫煙歴(1日1箱x20年相当)があり、禁煙15年未満の方のみ(低線量肺CTを毎年)
注:上記は特に検診の利益が大きく、対象の方が行うとより長生きをすると科学的に証明されています。

生活習慣病(※2)

高血圧:血圧 ・脂質異常症:コレステロール ・糖尿病:血糖とHbA1c ・肥満:体重
喫煙:禁煙を強くお薦めします
飲酒:飲酒は節度をもって(ビールなら1日500ml、日本酒1日1合、焼酎1日0.5合まで)
・定期的な運動歯科受診をお薦めします

全般(※2)

骨粗鬆症:65歳以上の女性 (骨密度の写真)
転倒予防:65歳以上(転倒しやすければ運動・リハビリ)
腹部大動脈瘤:65~75歳の喫煙したことがある(生涯で100本以上)の男性(腹部超音波検査1回)
淋菌・クラミジア感染症:性交の経験がある24歳以下の女性(尿か子宮頸部のPCR検査)
C型肝炎:18~79歳(血液検査)
うつ病:2週間以上のうつ気分・興味の減退があればご相談下さい。家庭内暴力


特定の方に(※2)

性行為感染症の危険性が高い方に:HIV・梅毒・B型肝炎・淋菌・クラミジア
妊娠を考えている方に:葉酸毎日400μg内服(神経管開存症が減ります)、風疹予防接種歴の確認または抗体検査、妊娠前カウンセリング(百日咳追加予防接種等)
ご高齢の方に:介護保険(総合相談室で相談)、ACP[人生会議]・事前指示(かかりつけ医と相談)


参考文献:
 ※1: ACIP (Advisory Committee on Immunization Practices)
 ※2: USPSTF (U.S. Preventive Service Task Force)
 ※3: 科学的根拠に基づくがん健診推進のページ


総合内科・家庭医診療科 文責: 佐藤暁幸