第9回:高血圧とインプラント治療は関係があるのか?

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高血圧は日本で患者数が最も多い病気で4300万人の患者さんがいると推計されています。急激に悪くならないため、自覚のない患者さんも多い病気です。下記の様に分類され、医療機関での血圧が140/90mmHg以上もしくはご家庭での血圧が135/85mmHg以上で高血圧と診断されています。
治療方法は運動や食生活などの生活改善あるいは薬によるコントロールがあります。

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<2019年の高血圧治療ガイドラインより改変>

基本的に高血圧の患者さんでも歯科治療を受けることは問題ありませんが、血圧の変動による脳や心臓への負担を考慮する必要があります。
歯科治療で使う局所麻酔には血管収縮薬が入っているため、多量に使用すると血圧を上げてしまう可能性があります。また、ストレスが血圧の変動に大きく関わるため、治療を受ける際に緊張が強い方は担当歯科医とよく話し慣れること、血圧を下げる薬を飲み忘れないことが重要です。
しかし、インプラント手術は患者さんにとっては頻度の高い治療ではないことが多く、緊張をしない方が難しいと思います。普段きちんとコントロールができている患者さんでも、手術の緊張により血圧が下がらないことは珍しくありません。
当院ではそういったストレスを最小限にするべく、麻酔の種類と量を適切に行う、できる限り痛くない注射を心がける、リラックス麻酔(第5回コラム参照)を推奨する、などの工夫をしております。また、手術中に血圧が異常に上がってしまう時のために常に血圧を測定する、血圧を下げる点滴薬を準備しておく、などの対応をしております。

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インプラント治療の成績に対する高血圧のリスクは、2016年の研究で「高血圧症の患者さんの中で降圧薬を内服している人のインプラントの失敗率は0.6%、内服をしていない人の失敗率は4.1%であった。」という報告が出ており、血圧のコントロールをしっかりした状態でインプラント手術を受けることが望ましいことがわかります。
当院でもコントロールのできていない場合は、インプラント手術の前に血圧の治療を優先して受けていただいております。
安全・安心な医療を提供するため、良好な治療結果を得るため、一緒にご協力いただけると幸いです。

文責:歯科口腔外科 松田博之
◎インプラント治療をご希望の方は
松田博之医師をご指定ください。

このサイトの監修者

亀田総合病院
歯科口腔外科医長 松田 博之

【専門分野】
口腔外科、インプラント