未破裂脳動脈瘤に対するクリッピング術(方法、治療成績と合併症)

全身麻酔をかけて開頭し、脳動脈瘤に到達してその首根っこの部分を、チタン製やステンレス製の金属クリップで挟み込みます。
髪の毛の処理は、以前は丸坊主で行っていましたが、現在では一部の毛髪を除去するだけで手術します(ライン除毛または部分除毛といいます)。
退院時に創が目立つことはありません。
術前検査も含め2週間の入院で治療が終了します。

クリッピング術

※クリップによる脳動脈瘤クリッピング術


開頭や閉頭に際して、脳損傷や感染症、てんかんなどの合併症が起こる可能性がありますが滅多に起こることではありません。
最も問題となるのは、動脈瘤周辺から分枝する穿通枝という細い動脈の損傷による障害です。
麻痺や記憶力の障害、言語障害など出現する可能性がありますが、一般的には3%以下の出現頻度であるといわれています。

小生(波出石)は平成19年9月より当院に勤務しております。
前職の秋田県立脳血管研究センターでは22年にわたり脳卒中の外科治療に従事し、1200例以上の脳動脈瘤治療(破裂・未破裂を含む)に関わってきました。
1998年以降、破裂脳動脈瘤に対する開頭手術は365例に、未破裂脳動脈瘤は367例に行って参りました。
未破裂脳動脈瘤の手術では、術後嗅覚障害を後遺された方が1例いらっしゃいますが、幸いそれ以外に麻痺や言語障害などを後遺された方はいません。

前交通動脈瘤に対しては前頭葉と側頭葉を分けて手術する方法(Pterional approach)が一般的ですが、小生は両側前頭葉を分けて瘤に到達する方法(basal interhemispheric approach)にこだわってきました。この方法は手術が面倒なので多くの術者は敬遠しますが、瘤の観察と処置には大変優れた方法です。我々は両方法で手術が可能で、症例に適した方法を選択しています。


治療成績と合併症:未破裂脳動脈瘤 367例(1998年~2006年)
  手術死亡:なし
  合併症 1例 (内訳:嗅覚障害 1例)
   一時的神経症状の出現:なし
   恒久的神経症状の出現:なし