未破裂脳動脈瘤の破裂する頻度

    健康成人の3~6%は未破裂脳動脈瘤を有すると言われています。
    これは大変な数字で、100人の健康な方にMRI検査をすると3人以上に未破裂脳動脈瘤が見つかることを意味します。
    それでは発見された脳動脈瘤が全て破裂するのでしょうか。
    この疑問に対してこれまで世界中の脳神経外科医が研究をしてきました。
    一般的に、一年間に破裂する頻度は1~2.3%(未破裂脳動脈瘤を有する方100人の中で一年間に1~2.3人破裂するという意味です)だと報告されています。
    しかし欧米での大規模研究では、1cm未満の小さな瘤が破裂することはきわめて稀で、1cm以上の瘤でも年に1%程度であるとの報告でした。
    これには実際の体験から異論を唱える脳神経外科医が多く、現在日本ではその実態を調査する研究(UCAS: http://ucas-j.umin.ac.jp/)が行われています。
    たとえば、破裂してくも膜下出血を起こし入院された方の瘤は、その80%が1cm未満のものであるからです。

    大きな脳動脈瘤、複数の瘤を有する方、すでにくも膜下出血を起こしている方、喫煙者、女性などが破裂しやすいといわれています。
    また脳動脈瘤の部位も問題で、内頸動脈や脳底動脈先端部、前交通動脈に存在する動脈瘤は破裂する危険性が高いといわれます。


このサイトの監修者

亀田総合病院
脳神経外科、脳血管内治療科 主任部長

【専門分野】
脳卒中の外科治療、脳血管内手術、脳機能解剖学、脳循環代謝学、脳動脈瘤に対する血管内手術、頚動脈ステント術、脳血管奇形、硬膜動静脈瘻、脳動静脈奇形、脊髄血管奇形、顎顔面血管腫