不動寺センター長のERひとりでできるもん:第2話 大動脈解離と肺塞栓症

KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。
このコラムを読んで、ER診療brush upの一助になれば 幸いです♪

Tipsの一部を紹介

*大動脈解離

  • 90%には突然発症の胸背部痛がある
  • とくに裂けるような痛み、鋭い痛み(LR+42)、上肢の血圧の左右差(LR+31.1)、低血圧(LR+17.2)は特徴的
  • ただし胸痛がない大動脈解離が6.4%あり注意が必要
  • 非典型症例は高齢者、上行解離、糖尿病、大動脈瘤があったり大動脈術後に多い
  • その多くは失神、心不全、脳梗塞で発症する。
  • 単純XPでも疑う(縦隔8cm以上拡大、左胸水、大動脈弓の不鮮明化、カルシウムサイン)
  • 単純CTではhigh attenuating crecent signは有用
  • D-dimerはlow risk群(大動脈解離の可能性が低い)の場合に有用
  • ADD-RS<1とD-dimer陰性でほぼ否定できる

*肺塞栓症

  • PEは特異的な症状がないことが特徴
  • 原因がわからない低酸素、頻脈、低血圧の時には肺塞栓を必ず疑う
  • まずはwells scoreでリスク分け、ただ臨床能力がものをいう
  • low riskはPERC ruleで否定、否定できなければD-dimer
  • intermediate riskはD-dimer陰性なら否定、陽性ならCTを
  • high riskは最初からCTを検討

post81_1.jpg

post81_2.jpg

post81_3.jpg


Tag:

このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科