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小児外傷にFAST(Focused Assessment with Sonography for Trauma)は有用か?

循環動態の安定している小児の鈍的外傷例で初期評価にFASTをすることで、1.腹部CTが減少するか、2.腹腔内損傷の見逃しがあるか、3.救急滞在時間が短縮するか、4.病院コストが減少するかについて評価したRCT。カリォルニア大学Davis外傷センター単施設における925例を、標準評価のみの群と、標準評価とFASTの両方を行った群にランダム化割り付けした。結果としては4つのprimary outcomeいずれも両群で差が出なかったため、小児の鈍的外傷に対してFAST施行を推奨する支持的結果にはならなかった。主なlimitationとしては、単施設研究であり、primary outcomeの項目に医師の主観が多分に反映されることが挙げられる。また、FAST陽性の事前確率が高いと考えられる循環動態が不安定な症例を除外している点は、CT撮影などpracticeの変更への影響を評価するにあたって大きなバイアスであると考えられる。

Effect of Abdominal Ultrasound on Clinical Care, Outcomes, and Resource Use Among Children With Blunt Torso Trauma
A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2017;317(22):2290-2296. doi:10.1001/jama.2017.6322

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科