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救急で挫創の一次縫合を行う際の、局所麻酔前に氷をあてて冷却することで、局所麻酔薬(リドカイン)注入時の痛みを軽減できるか検証した単施設ランダム化研究。
局所麻酔薬注入の疼痛は軽減され、合併症の増加はみられなかった。氷をあてるという介入の性質上、盲検化が難しく、NRSという主観的な指標で比較するため被験者と評価者が同じであり、また治療者と研究者も一致するため様々なバイアスが避けられない。
冷却による不快感をスコア化したことによっても、その後の局所麻酔薬注入時のNRSに影響を及ぼしうる。大きな効果量を見積もることにより少ないサンプル数を設定している問題もある。対象患者が18-65歳の比較的若年に偏っており、除外基準に該当した患者も多く、一般化可能性について疑問が残る。局所麻酔薬注入による疼痛の軽減方法としては簡便であり、今後外部検証が必要と考えられる。

Pre-emptive ice cube cryotherapy for reducing pain from local anaesthetic injections for simple lacerations: a randomised controlled trial.
Emerg Med J. 2017 Oct 12. pii: emermed-2017-206585. doi: 10.1136/emermed-2017-206585.

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科