救急 X 総合内科 カンファレンス:〜腰椎穿刺はいつすべきか?〜

「腰椎穿刺を考慮する時はしようかなと頭をよぎった時だ」「腰椎穿刺と採血は閾値は同じ」などと言われたりします。
果たして本当にそうなのか、不要な腰椎穿刺や細菌性髄膜炎を疑う症例は本当に多いのかということをdiscussionしてみました。

髄膜炎のclinical courseの確認、穿刺の適応(他に熱源が疑われる時はどうか、意識障害の時など)、手技による合併症・コストを確認、今後研究のテーマになり得るかという点に関して様々な論文をreviewしながらdiscussionしました。
また、当院5年間のER、入院2日目までに腰椎穿刺を施行した全症例を集計し、現状把握をしました。

救急 X 総合内科ではお互いの臨床疑問をもとに定期的にカンファレンスを行っております。
discussion内容は以下の通りですが、定期的に部長から若手が集まって顔の見える関係を通してevidenceに基づいた質の高い医療を提供していく工夫をしています。

*discussion 一部紹介

  • どの患者に腰椎穿刺をするかに明確なcriteriaはない。
  • 発熱、頭痛、意識障害=腰椎穿刺という単純な思考過程でなく、様々な複合因子を考慮しつつ穿刺の適応を考えていくこと。
  • 合併症としてERでの抗凝固、抗血小板薬のリスクは明確なevidenceはない。
  • アスピリンでの合併症はほぼないとの報告はあるがどうやら抗血小板は血腫などのリスクは低そう。
  • 腰椎穿刺して検体・培養提出で合計716点。
  • 意識障害+発熱で腎盂腎炎と診断した場合の髄膜炎との合併は報告なさそう、Ann Emerg Med 2004や後ろ向き研究では他の感染源と髄膜炎の合併の報告はされているが、指標検査(腰椎穿刺)と参照基準(髄膜炎の診断)が独立ではないbiasもあり批判的に文献を読み直す必要がある。
  • 髄膜炎はhard outcomeを生死と設定すると件数が少なく有意差がつかない可能性がある。
  • 研究するならば、教師なし学習として集めた症例の傾向を分析をしてみるのが良いのでは。

post116_1.jpg

post116_2.jpg

post116_3.jpg


Tag:

このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科