不動寺センター長のERひとりでできるもん:第8話 右下腹部痛のみかた

KMC ERでの週に1回の不動寺センター長によるER Tipsレクチャーの模様です。
初期研修医やもっとERを学びたい後期研修医向けに一人でER当直を乗り切れることを目標としています。
このコラムを読んで、ER診療brush upの一助になれば 幸いです♪

※Tipsの一部を紹介

  • まずは内科的primary surveyとしてABCDのチェックを
  • 腹痛は、VINDICATEと臓器別で照らし合わせながら原因疾患を考えていく

※尿管結石のtips

  • 急性発症の側腹部・腰部から始まる疝痛
  • 間欠痛もあるが基本的に持続痛
  • 嘔気嘔吐を伴い、嘔気が主症状もある
  • CVA叩打痛が陽性なことがある
  • エコーで水腎、twinkle signをみる
    (5mm以上の結石が腎臓、上部尿管、膀胱近傍にあれば感度特異度約95%)
  • KUB、尿検査は診断の感度特異度は低い
  • 尿路感染を伴う、片腎には注意
  • 治療はNSAIDsが1st (芍薬甘草湯5gが効く話もあり、利尿剤・大量補液・経口補水はevidenceが弱い)

※虫垂炎のtips

  • 10-30歳に多い
  • 24時間以上かけて疼痛が増悪する
  • CVA叩打痛、下腹部正中の痛み、頻尿、右睾丸痛など非典型な症状も来たす
  • 典型的症状をとるのは約半数→原因不明の腹痛の際は虫垂炎を疑う
  • Alvarado scoreや各診察所見はあるが感度特異度は低く信頼性は低い
  • 疑ったらエコー、感度特異度は80%以上である

※憩室炎のtips

  • 中年から高齢者に多い
  • 2.3日の経過で増悪する持続痛
  • 圧痛の範囲が広い
  • エコーでも感度91%、特異度98%と有用
  • CTにて診断(非造影でもdirty fat signでわかる)
  • 軽症は外来抗菌薬治療が可能、非投与群と予後が変わらないという文献もあり
  • Hinchey分類3、4は手術適応

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このサイトの監修者

亀田総合病院
救命救急センター センター長/救命救急科 部長 不動寺 純明

【専門分野】
救急医療、一般外科、外傷外科