がん治療施設「C棟」(3階建て、延床面積約5,558㎡)では、高齢化に伴い今後のニーズが高まるであろう「放射線治療」と「化学療法」の拡充を図るなど、患者さまへの身体負担を少なく、より質の高い治療を提供する体制を整えました。各フロアの機能や特長をご紹介します。
がんの三大治療法のひとつ、「放射線治療」(高エネルギーの放射線を患部に照射することで、主に悪性腫瘍の治療を行う)を行う施設です。欧米ではがん患者さま全体の50~60%が受けている治療法ですが、日本は約25%と、非常に低率に止まっています。しかし、この10年間で放射線治療を行う患者さまは約2倍に増加。また高齢化に伴い、身体への負担の少ない放射線治療を希望される方が今後一層増えてくることを考え、ここでは最新放射線治療機器「リニアック」2機が稼動しています。腫瘍の位置を正確に把握し、病巣にのみ的を絞って多方向より放射線を照射できる、身体にやさしい治療を行います。1回の照射にかかる時間は10~30分程度で、1機で1日30名程度の照射が可能です。
特に、C棟のオープンに合わせ、新たに導入された米国VARIAN社製医療用リニアック 「Clinac®-iX」は正確な位置精度を誇り、3次元治療から定位照射、あるいは将来の新しい治療に対応する最新技術まで、あらゆる放射線治療に対応するためのグレードアップが可能。これまで、最新の放射線治療を受けようと思うと、県北まで足を運ばなければならなかった患者さまにとっては朗報です。
2階は「化学療法センター」で、抗がん剤の点滴を行うフロアです。医学の進歩により、副作用の少ない抗がん剤が数多く開発され、外来で通院しながら抗がん剤の点滴治療を受ける方法が増えてきています。
1回の点滴治療にかかる時間は3~6時間。少しでも快適に化学療法を受けていただけるよう、点滴室には心地よいリクライニングチェア(31台)やベッド(10台、うち個室3)を機能的に配置しました。
また無菌環境下で、特殊ロボットが抗がん剤の混合調製を自動的に行う装置「CytoCare(サイトケア)」を国内で初めて導入。これまでの調剤方法と違い、薬剤師の抗がん剤暴露や人為的ミスを防止し、確実で正確な調製を行うとともに、医師・看護師・薬剤師のチーム医療により安全を重視した治療を行います。
また、他の一般外来患者さまとの混交することがないため、待ち時間や感染の心配も緩和され、体調がすぐれない時でも周囲に気兼ねすることなく、快適に治療を受けていただける環境が整いました。また、がん専門の医師が点滴室に常駐しているため、患者さまの状態を把握し、急変にも素早く対応できます。