リンパ浮腫はどのように発症するの?
リンパ浮腫は、状況や原因によって大きく2つに分類されます。一つは、先天性のものを含めた原因不明の特発性リンパ浮腫です。もう一つは、がんの外科治療や放射線治療、外傷治療などの後遺症として明らかな原因が把握できる続発性(二次性)リンパ浮腫です。
今回は、リンパ浮腫の中でも最も多く見られるがん治療後の二次性リンパ浮腫についてお話しします。
乳がんや子宮がん、卵巣がんをはじめとするがんの手術においては、がんの転移を考慮して、術前の検査や術中の所見をもとに、リンパ節郭清(病巣付近のリンパ節を切除すること)をします。この際、たくさんのリンパ管が集合してくるリンパ節を切除するため、リンパ管の中を流れるリンパ液つまりリンパ流が停滞してしまい、むくみが生じるのです。さらには、リンパの還流機能が低下し、リンパ管管腔の閉塞・消失が進み、浮腫が悪化します。
乳がん手術時にリンパ節郭清をされた方のうち約10~20%に、また婦人科系疾患によるがん手術時にリンパ節郭清をされた方のうち約30~35%に、浮腫が発症するという報告があります。加えて、放射線治療や特定の化学療法を追加で行った場合は、その発症率が高くなることがわかってきています。
リンパ浮腫の発症について、大きなポイントが二つあります。
- 発症時期は各個人によってそれぞれ違う
- リンパ浮腫は、上肢や下肢が太くなっていな場合でも、すでに発症していることが多い
浮腫は、術後すぐに生じる場合もありますが、10年、20年経過してから発症する場合もり、発症時期には個人差が大きいと言われています。また、リンパ浮腫の症状も同様に個人差が大きいと言われており、上肢や下肢で太さに左右差が見られるような場合にはそれなりに進行してしまっていることもあります。そのため、リンパ浮腫がどのように進行するのか理解することが大切です。
次回は、リンパ浮腫の進行について詳しくお話しします。
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