| クラミジア・トラコマチスという病原体で起こる日本で最も多い性行為感染症です。感染しても多くの場合は(女性の約75%、男性の約50%)症状を起こさないために、知らないうちに感染し、また広げている可能性があります。症状は出る場合でも、男性で排尿時痛や尿道分泌物の増加、女性では膣分泌物の増加や排尿時痛など他の病気でも見られる症状が多いようです。 |
| 女性では子宮の出入口(頚管)と卵管に炎症が起こり、未治療のままでは周囲に波及して慢性の炎症(骨盤腹膜炎、未治療の40%)による下腹痛の原因となります。また卵管の腫大や卵管周囲の癒着が起こることから精子と卵子の出会いが妨げられて不妊症の原因となります。さらには、子宮外妊娠の原因になる他に、未治療のまま分娩した場合には、産道で新生児が感染を受けて肺炎や結膜炎を起こすことが知られています。 |
| 不妊外来では、初診時にクラミジアの検査を行い、感染が判明した場合にはパートナー(性交渉の相手)とともに抗生物質を内服してもらい治療しています。 感染は抗生物質により治癒しますが、いったん生じた卵管の機能低下は薬では治りません。 腹腔鏡の観察下に癒着や閉塞を改善することも出来ますが、通常の妊娠が難しく、体外受精が必要になる女性もいます。 |
| 昨年度の日本性感染症学会おいて、今井博久氏らは、性交経験のある高校生の1割以上(女子の13.9%、男子の7.3%)が無症状のままに感染しているとの報告をしました。また、内外の他の疫学的な調査でも、性的活動の活発な若年者層、特に女性での感染が多く、将来の不妊につながるとして憂慮されています。 |
| そのため、アメリカのCDC (疾病予防管理センター)では、感染の予防として性交時にはコンドームを使用することを推奨しています。また、25歳以下の性的に活発な女性、あるいは、それ以上の年齢でも新しいパートナーができたり、複数のパートナーがいる場合には年一回の検査を勧めています。日本での検査の普及は難しいかもしれませんが、性病予防と望まない妊娠の予防と将来の妊娠のために、コンドームを最初から最後まできちんと使用することは大切なことです。 |