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脳血管内治療

閉塞性脳卒中の新しい治療 閉塞性脳血管障害(脳塞栓症)と脳血管内治療 2004/09/15

閉塞性の脳卒中(いわゆる脳梗塞)の中でもとりわけ緊急の対応が必要で、条件によっては、生命にかかわる重篤な状態に瀕したり、重い神経の後遺症で介護が必要な体となってしまうほか、杖をついてでもリハビリをすることができるようになったり、うまくすれば元通りの自立した生活に復帰できるまでになったりと、その予後は悪夢から奇跡にいたるまで極めて多様な病態…急性の脳血栓症のお話です。
この病気は数ある脳梗塞の状態の中でも急激に容態が変化するもので、発症から数時間以内に病院へ搬送され、かつMRIという診断装置で脳組織の虚血(血流不足)の程度を迅速に評価し、条件がそろえば、速やかに脳血管内手術を行うことで、脳梗塞の範囲を最小限に抑えることができ、運良く主要脳血管の再開通が得られれば、手術中にでも運動麻痺や失語症の改善が得られるという、まるで天国と地獄が表裏一体となった病態なのです。
原因としてはいくつかありますが、重症化しやすいものに心臓不整脈があります。人間の心臓は通常、心室や心房が規則正しく協調して律動し、血液を拍出しています。ところが、心房細動(fibrillation)という不整脈では、心房の筋肉がワナワナと1分間に約300〜500回と正常の5倍以上の速さで不規則に細かくふるえ、心房の補助ポンプとしてのまとまった収縮や拡張がなくなる状態となり、結果、心房から心室への血液が効率よく流れなくなり、血流の鬱滞がおこり、そこに血栓を形成しやすくなります。
この血栓が心臓から頚動脈を経由して頭蓋内の脳血管へ血流に乗って移動して、脳の主幹動脈を閉塞してしまうのがいわゆる心原性脳梗塞です。故小渕恵三元首相や長嶋茂雄元監督も罹った病態です。長嶋名誉監督のように生来健康や食べ物には人一倍気を使っていたであろう方にも発症してしまうのです。それまで元気だった人が突然手足に力が入りにくくなったり、言葉を出せなくなったり、また布団から起き上がれず、家族の人からも遅れて発見されるなどの状況で発症することが多く、60〜70歳代の方に多くみられます。
心房細動を起こしやすい人としては、高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙といった主要因の他に、心内膜炎、心弁膜症、心不全、狭心症の既往、甲状腺機能亢進症、過渡のアルコール摂取などの背景がある人です。またこうした血栓症を誘発する条件として、高齢になると膀胱の弾力性が落ちるためトイレが近くなりがちで、その結果、夜間トイレに行かないようにと就寝前に水分摂取を控えたり、炎天下あるいは蒸し暑い場所で長時間水分摂取せずに作業したりするのが危険です。
つまり脱水傾向になると血液の粘調度が増し、いわゆるドロドロした血液となるとこうした血栓症の危険が高まるのです。就寝前のコップ一杯の飲水でこの危険を大きく減らせるという報告もあります。
文責:脳神経外科 田中 美千裕
<脳血管内治療担当部長>
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