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伝統と革新の融合 スポーツ鍼灸

2019/6/1

鍼灸ってどんなもの?

鍼(はり)・灸(きゅう)を使って、経穴(けいけつ=ツボ)や経絡(けいらく)を刺激し、身体の調子(五臓六腑)を整える鍼灸施術です。現在、日本国内で行われている方法の多くは、古代中国に起源しおよそ1400年前に大陸から伝来した後、我が国独自の発展を遂げ現在に至ります。経穴や経絡は目に見えるものではないので、「摩訶不思議な力」と捉えられがちですが、近年、東洋医学・鍼灸施術自体の研究が進み、科学的にも証明される部分が多くなってきました。スポーツ鍼灸では、伝統的な経穴を使う他に、機能解剖や神経反射、運動学などの常に最新の理論に基づき施術部位を決めており、伝統と革新の融合とうたう所以はここにあります。

鍼の種類は様々あり、日本でもっぱら使われる鍼は「豪鍼」(ごうしん)と言い、直径0.14~0.22mm、長さ30~60mm位、髪の毛と同じ位の細さで、皮下や筋肉内に刺して用います。「円皮鍼」は、円形の絆創膏の中心部に直径0.2mm、長さ0.3~1.5mmのとても小さな鍼がついていて皮膚に貼り付けて用います。長時間皮内や皮下に留置したまま、痛みなく動くことが可能です。

お灸で使用する艾(もぐさ)は、ヨモギの葉を精製し作られます。この艾を米粒より小さく捻って直接肌の上に置いて燃やす方法、小指の先くらいからひと掴みくらいまで様々な程度の大きさにまとめて、生姜や塩などの土台の上に置き燃やす方法、また土台に艾があらかじめセットされて、すぐに使えるような状態で商品になっているものもあります。

スポーツ現場での鍼灸施術の活躍

日本のスポーツの現場では、鍼灸師の資格を有するトレーナーも多く、鍼灸施術は身近なものと言えます。競技者は、良い成績を残すためにトレーニングに励みますが、体調を整えることも必須です。鍼灸施術は、身体全体を整えることができるので、ケガへの施術の他に、コンディショニングの一つとしても活用されています。

実際の活用方法をいくつかご紹介すると、①疲労や遅発性筋痛の予防・軽減を目的として円皮鍼を用います。トライアスロンやマラソンなどの持久系スポーツにおいて、円皮鍼を腰背部に貼り付けて競技を行った結果、レース翌日の筋肉痛が抑制されたり、疲労からの回復が促進されたという報告があります。②筋、神経の症状には豪鍼を使用し、鍼だけを使う方法と、刺した鍼に電気を流す方法があります。鍼を筋肉に刺すと、血管が拡張し筋血流が増加します。刺してすぐに抜く、しばらく留める、留めながら電気を流す、などの方法を被術者の感受性や病態に合わせて選択します。また電気の周波数も目的(筋緊張緩和・消炎・鎮痛)によって調節します。例えば、肉離れをしてしまった場合には、急性期には患部に直接刺すことはせず、周りを細めの鍼で囲みます。または、損傷部位を上下で挟むように鍼を刺し、微弱電流を流します。この電流は非常に微力で、被術者が電気を感じない出力です。受傷後1週間程経ち、損傷部位に硬さや圧痛が現れた場合は、損傷部の圧痛部とその筋に鍼を刺します。筋肉が軽く動く位の出力で通電をすることもあります。2~3週間経過すると痛みや違和感が徐々に消失する一方で、動けるようになることから生じる筋疲労や筋緊張が起こります。こういったものには適宜、その筋や周囲の筋に対して鍼を刺します。そして痛みが生じない程度に通電をすることもあります。③冷えや睡眠の改善を目的に用いるのは、お灸です。足の踵や背中、お腹にすえます。また施術後に筋緊張が局所に残った場合にピンポイントですえる事もあります。お灸は、艾を燃やすため、煙たさと匂いが少し気になるかも知れませんが、心地よい温かさを感じられると思います。

スポーツ鍼灸に限ったことではありませんが、痛みを伴う症状で施術を受ける際に大切なことは、施術者からきちんと状態を評価してもらうことです。筋や腱、靭帯や軟骨・骨がどのような状態なのかを確認し、それから鍼灸施術を受けるようにしましょう。

スポーツ医学科のご案内

スポーツ医学科(オルカ鍼灸院) 鍼灸あん摩マッサージ指圧師 佐藤衣里子