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スポーツ・運動と気管支喘息

2019/5/1

気管支喘息(以下喘息)は人口の10%とも言われ、学校のクラスに数人はいるような良くある病気の一つです。酸素を吸って肺に届ける通り道を気管支と言いますが、気管支の粘膜が炎症を起こすと(発作と言います)、空気の通り道が狭くなり、呼吸困難を起こします。また、炎症により痰が増加し、咳とともに痰がからみます。子どもの頃に発症する人もいれば、大人になって発症する人もいます。アレルギーが関連していることもあります。発作を予防するために適切な治療を受ける必要がありますが、しっかり治療すれば支障なく日常生活を送ることができます。実はこの喘息は、スポーツ・運動と深い関係があるのです。

トップアスリートには喘息が多い!?

通常のアレルギー性の喘息以外に、運動時だけ喘息症状が強く出る人がいます。気管支粘膜が乾燥したり冷却されたりすることが誘引になると言われていますが、これを運動誘発性気管支攣縮と言います。運動誘発性気管支攣縮はトップアスリートに多く、4人に1人という報告もあります。日本の有名選手では、フィギュアスケートの羽生結弦選手や、レスリングの吉田沙保里選手も喘息持ちなのだそうです。高強度の運動をするアスリートでは、運動時の息切れなどの症状があれば、運動誘発性気管支攣縮/運動誘発性喘息の可能性を考える必要があります。診断には、呼吸機能検査を行うことが必要です。

喘息の人が運動する時の工夫は?

通常の喘息の治療は、発作の状況に応じて、吸入ステロイドという薬を中心に使用します。発作を予防するため、連日吸入を行います。発作が多ければ薬剤を追加し、治療をステップアップしていきます。

特に運動時の喘息症状に有効だと言われている方法がいくつかあります。

  1. 1 .運動の5~15分前に気管支拡張薬の吸入(サルタノール吸入○)を使用する
  2. 2 .ロイコトリエン拮抗薬(シングレア○)を、大会や合宿期間に連日内服する
  3. 3 .ウォーミングアップを行う(高強度の運動を10~15分程度行うと、その後数時間発作が起きにくい状態になります)
  4. 4 .マスクで冷気と乾燥を予防する

トップアスリートは、ドーピングに注意!

実は喘息の治療薬には、ドーピング禁止薬に当たるものが含まれています。ドーピング検査を受ける可能性があるアスリートは、特に注意が必要です。β刺激薬と呼ばれる気管支拡張薬は、一部の吸入薬のみ認められています。また、発作時に使用するステロイドの全身投与は、大会前に使用する場合は申請が必要です。ドーピング検査が行われる大会は日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のホームページに掲載されています。該当する方は担当医やスポーツファーマシスト(薬剤師)にご相談ください。

このように、喘息とスポーツ・運動には深い関連があります。正しい知識を持って適切に治療をすれば、決して怖いものではありません。特に運動時にしか症状が出ないタイプの喘息はなかなか気が付かれにくいものです。治療をすることで呼吸が楽になり競技成績が良くなる可能性もありますので、本記事を読んで気になると思った方は、ぜひ「総合スポーツ外来」にご相談ください。

亀田クリニック スポーツ医学科「総合スポーツ外来」では、整形外科の疾患以外でスポーツに関連するあらゆる症状や病気に関する診療を行っています。また、持病があるなど、運動することに不安がある方、どんな運動をすれば良いかわからない方などにもご相談に乗ることが可能です。ぜひお気軽に受診ください。

スポーツ医学科のご案内

安房地域医療センター 総合診療科(総合スポーツ外来担当) 濱井 彩乃