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キアリ奇形、脊髄空洞症

2006/07/14

はじめに

「脊髄空洞症」という病気をご存じでしょうか?
いろいろな原因により脊髄内に空洞(水たまり)を形成する慢性進行性の疾患です。大変まれな病気ですので、聞いたこともないという方がほとんどかもしれません。当院では脊髄空洞症の治療に積極的に取り組んでいます。

脊髄に形成される空洞は、英語でシリンクス (syrinx) と呼ばれています。シリンクスは ‘葦’を意味するギリシア語に由来する言葉で、現在ではチューブやパイプのような中空の組織を意味しています。ギリシア神話をご存じの方であれば、半人半獣のパンの神の求愛を逃れて、葦に変身したアルカディアの妖精シリンクスの名前を思い出されるかもしれません。

空洞形成の原因には、キアリ奇形(小脳の一部が脊柱管内に落ち込んでしまっている状態)、脊髄腫瘍、脊髄外傷、脊髄くも膜炎など多くの疾患が知られています。キアリ1型奇形に伴うものが最も多く、原因の約半数を占めています。まれな疾患なため他の病気と誤診されることも多く、かなり病状が進行して初めて正しい診断にたどり着いたということも少なくありません。

臨床症状

多くの患者さまは、胸部や腕から手にかけての痛みやしびれなどで発症しますが、運動麻痺が初発症状となることもあります。キアリ奇形に伴う空洞症では、せき込んだ時やトイレでいきんだ時など、腹圧がかかる動作に伴い後頭部が痛むのも特徴とされています。小児期に発症した患者さまでは、脊椎側弯症を合併することが多く、学校の検診で側弯症を指摘され、その精査中に空洞が発見されることも少なくありません。

病状が進行すると、典型的には腕から手にかけての著明な筋萎縮を伴う筋力の低下と、ジャケット型の感覚障害が出現します。一般に温・痛覚は発症初期より傷害されることが多く、湯加減を見るときなどに感覚の異常に気づくことが多いようです。また、発汗障害や排尿障害など自律神経障害などを伴うこともあります。

治療法

現在でも、手術療法が脊髄空洞症に対する唯一の治療法です。病状が進行してから手術を行っても、麻痺や知覚障害は完全には回復しないため、早期に診断・治療を受けることが重要です。
当院では、キアリ奇形に対する脊髄空洞症に対して「大後頭孔拡大術(だいこうとうこうかくだいじゅつ)」を、脊髄外傷や脊髄くも膜炎による空洞症には「空洞?くも膜下腔短絡術(くもまくかくうたんらくじゅつ)」を行っています。

図1 空洞 くも膜下腔短絡術

図2 大後頭孔拡大術

空洞症の症状・手術方法などに関しては、脊椎脊髄外科のWebサイト内で詳しく説明しています。

脊椎脊髄外科のWebサイト

脊椎脊髄外科 久保田基夫

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