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神経症状1(知覚障害、痛み、しびれ)

2006/07/14

視覚や聴覚、味覚などとは別に、体中に張り巡らされている感覚があり、体性感覚といわれます。この感覚には、痛みや温度の感覚(皮膚感覚)と体各部の相対的位置や運動に関わる感覚(筋感覚)が含まれます。
皮膚感覚の情報は末梢神経のうちの細めの神経により運ばれ、脊髄内に入ってからは交叉して脊髄の前面を脳に向かって上がっていきます(図1の外側脊髄視床路)。
一方、筋感覚の情報は太めの神経により運ばれ、脊髄内では後面を上がり、脳に入るあたりで交叉します(図1の後索)。

感覚の伝達路

図1(森田と柳澤(1994)から引用)

皮膚感覚が傷害されると、痛みや温度の感覚が鈍くなったり、かえって鋭くなり、痛みやしびれをきたします。鈍さが高度になると、外部からの侵害が判断できなくなり、怪我や火傷をしやすくなります。筋感覚が傷害されると、足の運びが悪くなってふらついたり、手の細かな動作が鈍くなります。さらに、深部からの重苦しい痛みが現れることもあります。
実際の病気では、脊髄内のどの位置で、どの範囲が傷害されるか、脊髄に入ってくるあたりの神経がどの程度巻き込まれるかで、様々のタイプの感覚障害が現れます。医師は、感覚障害の出現の様子や感覚障害の性質と分布から、脊髄の傷害範囲と共に疾患の種類を推測します。その中で以下のようなタイプが典型的です(図2)。

  • 図2

  1. 1 .脊髄に入ってくる感覚神経に限局的傷害があると、手や足の一部の感覚鈍麻やしびれ、痛みが現れます。椎間板が側方にヘルニアを起こすときが代表的です。
  2. 2 .脊髄が前方から軽度に圧迫されると、手足の先に感覚鈍麻やしびれが現れ、広汎な末梢神経障害と紛らわしいです。主に頸椎症でみられます。
  3. 3 .脊髄のある位置の横断面がすべて巻き込まれると、対応した皮膚のレベル以下のすべての感覚が障害されます。脊髄内の腫瘍や横断性脊髄炎などでみられます。
  4. 4 .脊髄のある位置の横断面の左右どちらかの半分が巻き込まれると、対応した皮膚の範囲に全感覚の低下とともにしびれがあらわれ、同じ側のそれ以下の筋感覚が障害されると共に、反対側のそれ以下の皮膚感覚が障害されます。このとき、筋力低下と皮膚感覚鈍麻が違う半身に現れるので、神経解剖を知らないと奇妙な感じを受けます。脊髄のすぐ外側の腫瘍や多発性硬化症といわれる内科的疾患などで現れます。
  5. 5 .脊髄の前半分が傷害されると、そのレベル以下の皮膚感覚が障害されるのに、筋感覚が免れる状態になります。脊髄を栄養する前脊髄動脈の流れが遮断されたときに現れます。
  6. 6 .脊髄の背部にある筋感覚の経路が傷害されると、下肢の深部感覚が障害されて、歩行が強くふらつきます。脊髄背側を栄養する後脊髄動脈の流れの遮断やビタミンB12の不足、神経梅毒、多発性硬化症などが主な原因です。
  7. 7 .脊髄の中心部(ここで皮膚感覚の経路が交叉する)が傷害されると、対応する両側皮膚感覚が障害されて、衣紋掛け状ないし帯状の領域にしびれや痛みが出ます。脊髄空洞症がモデル的疾患ですが、実際には稀で、頚椎症や脊髄の外傷、多発性硬化症などでみられることが多いです。

神経内科 福武敏夫

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