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骨粗しょう症と椎体骨折のおさらい

2018/9/1

今回は過去に取り上げられた話題から、大切なところをおさらいしてみたいと思います。

「骨粗しょう症」って何?(定義と発生頻度:第1、2話)

「骨がもろくなって、骨折しやすくなった状態」を骨粗しょう症と呼びます。骨がもろくなるとちょっとした日常動作でも骨が折れてしまいます。骨折しやすい場所としては、椎体(背骨)、大腿骨(太ももの骨)、橈骨(前腕の骨)などがあります。

骨粗しょう症は大きく分けて「原発性」と「続発性」の2つのタイプがあります。「続発性」は骨を弱くするような原因となる基礎疾患のある場合で、ステロイド剤の長期服用、慢性腎臓病や人工透析、内分泌疾患などが知られています。これに対し「原発性」は加齢に伴い骨密度が低下して起こるもので、高齢者で一般に見られるのはこちらのタイプです。骨粗しょう症の人は2005年の統計では1280万人(男性300万人、女性980万人)と報告されています。骨の丈夫さは「骨密度」を測定することで分かります。数分ですむ簡単な検査です。女性は閉経を迎えたら、男性は70歳になったら、健康診断の時などぜひ骨密度を測定してみて下さい。

骨粗しょう症性椎体骨折について(症状と治療:第2、3話)

わが国では70歳代の25%、80歳代の43%に椎体骨折が認められ、年間100万人近い患者さまが椎体骨折を起こすといわれています。椎体骨折では持続する腰痛・背部痛だけではなく、背骨の変形や姿勢の異常、運動機能障害や内蔵機能障害の原因となります。

発症急性期には保存治療が有効です。椎体骨折と診断されたら無理をせず、できるだけ安静を保つようにして下さい。保存治療によっても腰痛が改善しない場合には、骨折椎体の中に骨セメントを注入する手術(椎体形成術、BKP)が有効です。比較的簡単な手術ですが、患者さまの満足度は80%以上です。

転倒による骨折を予防する(運動と転倒予防:第5、6話)

青信号のうちに横断歩道を渡りきることができますか?
何秒間片足で立っていることができますか?


骨折を予防するためには、骨を丈夫にすることはもちろんですが、簡単に転ばないような体力を維持することも大切です。「サルコペニア」という言葉が注目されています。これは筋肉量減少による全身の筋力低下を意味しており、歩行速度が遅くなったり、杖や手すりが必要になったり、様々な日常生活に支障を来すようになります。第5、6話では「サルコペニアの診断」や「運動能力テスト」を紹介し、片足立ちやスクワットなど自宅でできる体力作りについてお話ししました。自宅でできる転倒予防についても紹介しています。

骨粗しょう症の予防と治療(食事とくすりの話、第4、7話)

骨粗鬆症予防の基本は先にお話しした「運動」に加え、「食事」と「薬の服用」が3本柱です。

「骨にはカルシウム」と思いがちですが、タンパク質、ビタミンD、ビタミンKなど、骨を作る栄養素を十分に取る必要があります。バランスの良い食事を取るよう心がけて下さい。カルシウムは小魚・乳製品・大豆製品・野菜や海藻に、ビタミンDは魚類や干しきのこに、ビタミンKは納豆や小松菜などに多く含まれています。

すでに骨粗しょう症性骨折を起こしてしまった方や、骨密度が低くなってしまった方は、薬の力を借りて骨を丈夫にする必要があります。薬を続けることで、骨密度が上がったり、骨折しにくくなったりする効果が期待できます。骨粗しょう症薬には「骨を壊すのを防ぐ薬」や「骨を作るのを助ける薬」などがあり、また飲み薬や注射薬などいろいろな種類があります。自分の生活スタイルに合った薬を処方してもらって下さい。

チームで対応する(地域医療連携とリエゾンチーム、第8、11話)

骨粗しょう症の患者さまにチームで対応するために、医師、理学療法士、薬剤師、看護師、管理栄養士、ソーシャルワーカーからなる「骨粗しょう症リエゾンチーム」を立ち上げました。また「総合相談室」では患者さまの様々な相談をうけており、「地域医療連携室」ではいろいろな地域の医療機関、施設などとの連携を図っています。

長いことご愛読ありがとうございました。「骨粗しょう症」は治療することができる病気です。骨を丈夫にして、いつまでも健康で楽しい生活を送って下さい。

脊椎脊髄外科のご案内

亀田総合病院 脊椎脊髄外科部長 久保田基夫