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椎体骨折の診断と治療

2018/4/16

椎体骨折の画像診断

急性腰痛で来院された患者さまのレントゲン、MRI、CTスキャンです。診断は椎体骨折ですが、どれが新しい骨折でしょうか?

※の骨(第12胸椎)と答えた方、残念ながら不正解です。L1(第1腰椎)が新しい骨折、今回の腰痛の原因です。MRIで椎体が白くなっている(高信号)のが証拠です。ところがL1はレントゲンでもCTでもつぶれているようには見えませんね。急性期骨折はレントゲンでは分からないことがあります。そんな時は是非、MRIを撮影してもらって下さい。

椎体骨折の好発部位

「背骨」は1本の骨ではなく、「椎骨」と呼ばれるブロックの形をした骨が積み重なってできています。そして頭の方から順番に、「頚椎」、「胸椎」、「腰椎」、そして一番下の大きな骨を「仙骨」と呼んでいます。さて次の問題です。どの骨が一番折れやすいでしょうか?下のグラフは私たちが治療した患者さまの骨折部位を示しています。下部胸椎から腰椎の骨折が圧倒的に多いことが分かります。

椎体骨折の保存治療

発症急性期には保存治療が有効です。治療の原則は「安静と疼痛コントロール」です。椎体骨折と診断されたら無理をせず、できるだけ安静を保つように心がけて下さい。コルセットは必須です。市販のものではなく、自分の体に合わせた医療用のコルセットを作成することをお勧めします。骨折部位により使用するコルセットが異なりますので、専門の先生に相談されると良いでしょう。

経皮的椎体形成術(セメント治療)

保存治療によっても腰痛が改善しない場合や、骨折が治らず偽関節となってしまった場合などは、骨折椎体の中に骨セメントを注入する手術(Balloon Kyphoplasty、BKPと略します)があります。1時間ほどで終了する比較的簡単な手術ですが、患者さまの満足度は80%以上です。かつては保険が認められていなかったため自費診療で手術を受けていただいていましたが、「脊髄外科の指導医がいて、BKPのトレーニングを受けた施設」に限り保険適応が認められるようになりました。当院では2011年よりこの治療を行っています。

遅発性神経麻痺

椎体骨折により骨変形が進行し、神経を圧迫するようになると、下肢のしびれや歩行障害を来すようになります。これを「遅発性神経麻痺」と呼んでいます。固定術などの治療を行っても、対麻痺や排尿障害などの神経症状を残す可能性が高く、介護なしで生活をすることが難しくなります。

大切な問題ですので、第9話でもう一度お話しします。

医療機関からのお願い

骨折急性期には保存治療が有効ですが、発症から時間が経ってしまうと保存治療では難しくなります。BKPは簡便で有効な治療手段ですが、もちろん万能ではありません。セメントを注入する余地がないほどつぶれてしまったり、背骨の後弯変形が進行してしまうと、いかにBKPといえども完全に症状を取ることが難しくなります。さらに進行して遅発性神経麻痺を来してしまうと、もとの生活に戻ることはかなり難しくなります。

早期に治療を開始するほど良い結果が得られます。骨折かなと思ったら我慢をせず、早めに医療機関を受診して下さい。

脊椎脊髄外科のご案内

亀田総合病院 脊椎脊髄外科部長 久保田基夫