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骨粗しょう症と椎体骨折

2018/4/2

骨粗しょう症の定義について

骨粗しょう症、医学的にはどのように定義されているのでしょうか?もとの文章は英文で、しかも小難しい表現になっていますが、思い切って要約すると「骨粗しょう症は骨がもろくなって、骨折しやすくなった状態(1991年、コンセンサス会議)」と言うことができます。

では、骨の丈夫さ(骨強度)はどのように定義されているのでしょうか? 2000年の専門家会議では、「骨強度(骨の丈夫さ)は骨密度と骨質の2つの要因からなる」と報告されています。「骨の量」と「骨の質」、両方とも大切なんだよと言うわけです。

骨密度はレントゲン撮影を用いて測定します(DXA法:デキサ法)。臨床的にはYAM値(ヤム値、young adult mean の略です)がよく用いられます。これは「若い人の骨密度を100%としたとき、患者さまの骨密度はどのくらい低下しているか」ということを示しています。よく使う言葉ですので、ぜひ覚えておいて下さい。

骨粗しょう症は「骨折の有無と骨密度の組み合わせ」により診断します。具体的には、1)大腿骨近位部または椎体に脆弱性(ぜいじゃくせい)骨折(普通では折れないような弱い外力での骨折)が認められる場合には骨粗しょう症とする、2)脆弱性骨折がない場合にはYAM値が70%以下の時骨粗しょう症とする、というように決められました。この定義によれば、骨密度が低ければ(YAM≦70%)当然骨粗しょう症ですが、脆弱性骨折が認められる場合には骨密度にかかわらず骨粗しょう症としようというわけです。本当はもっと複雑な条件が付いていますが、そこまで気にする必要はありません。

骨粗しょう症の発生頻度


日本では骨粗しょう症の患者さまはどのくらいいるのでしょうか?1000人に1人、それとも100人に1人位?・・・2005年の大規模調査によれば、なんと国民の10人に1人、1280万人(男性300万人、女性980万人)が骨粗しょう症であると推定されています。グラフは「骨粗しょう症人口の推定(山本逸雄、1999)」から抜粋したものですが、骨粗しょう症は圧倒的に女性に多く、60歳を超えると急速に増加していることがわかりますね。

骨粗しょう症性椎体骨折

骨がもろくなると尻もちなどごく軽い外傷で、簡単に背骨がつぶれてしまうことがあります。これを「骨粗しょう症性椎体骨折」と呼んでいます。以前は骨折の形態により「圧迫骨折、破裂骨折」と区別していましたが、現在はどちらも「椎体骨折」と統一されました。

わが国では70歳代の25%、80歳代では43%に椎体骨折が認められ、なんと年間100万人近い患者さまが椎体骨折を起こすと推定されています。これはもう、他人ごとではありませんね。


椎体骨折は、持続する高度な腰痛だけでなく、背骨の変形や姿勢の異常、運動機能障害や内臓機能障害の原因となります。厚生労働省の調査によれば、寝たきりの原因の13%が骨折・転倒によると報告されています。またアメリカで実施された5万人を対象とした追跡調査では、椎体骨折があると死亡率が2倍になるとも報告されています。これはかなりショッキングな数字ですね。こうなると、たかが腰痛と見過ごすわけにはいきません。

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亀田総合病院 脊椎脊髄外科部長 久保田基夫