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手のシビレ 5.頸部椎間板障害

2012/12/15

今回は、脊髄の病気によって起こる手のシビレ「頸部椎間板障害(けいぶついかんばんしょうがい)」についてご説明します。

症状

この病気は、手のシビレで始まることがほとんどです。頸椎椎間板ヘルニアではシビレに先だって頸部痛や肩甲骨の内側に強い筋肉痛を伴うことがありますが、ないこともあります。最も多い第6頸髄神経根の刺激症状では、親指と人指し指のシビレで始まります。シビレが強くなると、さらに、前腕にも広がることがあります。第7頸髄神経根の刺激では、中指がシビレます。同様に、第8頸髄神経根の刺激では小指と薬指が痺れます。

症状が進行すると、腕・指の力が入らなくなり、時に筋肉が痩せてしまいます。また、圧迫が神経根だけでなく、脊髄そのものに及んだ場合は、足のシビレ・足のこわばり、ついには歩けなくなってしまいます。

自己診断のポイント

この病気の特徴的なことは、頭・頸を後ろに反らしたときに、シビレが強くなることです。また、中年の男性で手のシビレを感じる病気の中では最も多い病気です。手のシビレで始まることが多いのですが、時に足のシビレで始まることもあります。

手がシビレ、次いで足の裏からシビレが昇ってきて、足がこわばるようなら、ためらわず専門医に診察してもらいましょう。末梢神経は旺盛な神経の再生能力があり、手術など適切な治療で回復が期待できますが、脊髄には末梢神経ほどの回復力がありません。症状が進行してしまうと、完全な回復がむずかしくなります。

整体術などは、単純な肩凝りにはとても効果のあるものですが、頸椎に病気がある場合には無理な頸椎の運動で四肢麻痺になることがあり、注意が必要です。私も過去に何例か整体術やカイロプラクティクで四肢麻痺になって運び込まれた患者さまを経験しています。

解説

ヒトの頸椎には常に大きな負担がかかっており、椎間板や椎間板を支えている靭帯が疲労してしまうことがあります。破損した椎間板が靭帯を突き破り、神経組織を圧迫するような飛び出しが起こることがあります。これが椎間板ヘルニアです。比較的若い人では、単純に飛び出した椎間板が神経に触っていることが多いのですが、高年齢の人では椎間板の老化に留まらず、椎体骨の変形を引き起こし、トゲ(骨棘と言いますが)が、神経に触ることもあります。このトゲは、脊髄の収まっている骨のトンネル(脊椎管)内で、左右どちらかに偏って飛び出すことが多く、脊髄から分かれて、脊椎管から外に出る神経根を刺激します。ですから、左右どちらかの手のシビレ感で始まることが多いのです。ところが、トゲが脊椎管の中央にある場合には、手の症状はほとんど無いのに、足のシビレとこわばりで始まることもあります。
神経への圧迫は、頭を後ろに反らしたときに強くなります。これが、頭と頸を後ろに反らしたときにシビレが強くなる原因です。

治療

治療の第一は、頸の安静です。まずポリネックと言う頸にうまく合うように作られたプラスチックのカラーがあります。これを眠っている間着けます。症状が消えない場合や、元の生活に戻って症状が再発したときは、覚悟してください。手術が必要です。しかし、手術で症状が全部消えることはないと考えてください。
脊髄の病気はこの病気に限らず、早ければ早いほど、症状が軽ければ軽いほど治療効果が期待できます。しかし、手術には当然危険が伴いますので、手術に踏み切るには、医学的な問題だけではなく、患者さまの人生観、生活様式、社会的な適応など総合的な判断が必要です。

出典 橘滋國『シビレを感じたら読む本』、講談社、2012

脊椎脊髄外科顧問 橘 滋國

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