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手のシビレ 4.橈骨神経麻痺

2012/12/01

手のシビレが起こる病気についてご紹介しています。
前回は、肘が原因で手がシビレる病気「肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)」についてご紹介しました。今回は腕枕や飲酒をして何かに寄りかかって寝てしまった場合などに起こる橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)についてご説明します。

症状

橈骨神経麻痺(Saturday night palsy:土曜夜のマヒ)は、とても艶っぽい名前がついています。その名のとおり、恋人を腕枕して眠ると神経麻痺を起こしてしまうものです。この神経の麻痺では手の甲がシビレます。しかし、多くの場合感覚の障害より、筋肉の麻痺が主体となります。筋肉は、前腕の手の甲側で、指を伸ばしたり、手首を反らしたりする筋肉の麻痺が起こります。手首を反らす筋肉がうまく働かないため、指を曲げる筋肉は麻痺していないのに、ものをうまく握ることができなくなります。

自己診断のポイント

自己診断は、クラシカルな腕枕で起こったものなら、むずかしくはありません。時には、こうした記憶がないのに朝起きたら麻痺していたということもありますが、飲酒の後、何かに寄りかかって眠ってしまった場合が大半です。シビレる範囲は手の甲だけで、手のひらは正常です。感覚が麻痺した場合は、親指と人指し指の付け根を延長してできる手の甲の三角形の小さな部分だけなのが特徴です。運動麻痺は、症状の項で述べましたが、指を伸ばしたり、手首を反らしたりすることができなくなります。医学的には、この筋群を伸筋群と呼びます。この筋群の麻痺は、drop handと呼びます。

解説

橈骨神経は、特殊な走行をしています。頸椎から鎖骨の下を通り、わきの下を通過した神経は、上腕骨の外側をぐるっと回って、外側から、前腕の筋肉(伸筋)に行きます。また、この神経は、手の甲の皮膚の感覚を伝えます。神経圧迫は、この上腕骨をぐるっとまわるところで起こりやすいのです。この部分は、腕枕をして恋人の頭の重さが加わると、ベッドと上腕骨の間で圧迫されるのです。しかし、時には、こうした外力が加わらなくても、神経の上にある上腕三頭筋(肘を伸ばす筋肉)と上腕骨の間で圧迫されることもあります。特異な例として、シャベルで穴掘りを一生懸命やった後、麻痺に気付いた症例を経験しています。

治療

この麻痺は、ほとんどの場合、圧迫性の神経障害ですから、手術による治療は必要ありません。ビタミン剤、保温などが必要です。
しかし、回復には、1~3ヶ月を必要とすることが多いので、気長に治療に励みましょう。
次回は脊髄が原因で手がシビレる「頸部椎間板障害」についてご説明します。

出典 橘滋國『シビレを感じたら読む本』、講談社、2012

もっとシビレについて知りたい方は、私が執筆している『シビレを感じたら読む本』に詳しく書いています。クリニック1FのマーラマやKタワー1FのPAOLAでも販売しています。

脊椎脊髄外科顧問 橘 滋國

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