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手のシビレ 2.手根管症候群

2012/11/01

前回は、なで肩の女性に多くみられる「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」の症状や治療についてご紹介しました。今回は、女性の手のシビレで一番多い病気「手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)」についてご説明します。

症状

中年以降の女性に(多く)みられる、親指から、薬指半分までの手のひらのシビレです。夜間にシビレ症状が現れることが多く、日中は自転車に乗る、編物をする、電車やバスの吊革に掴まるといった動作で症状が強くなります。手の甲側はシビレません。症状が進行すると、指の感覚が鈍くなり、細かい物をつかむ(例えば机の上のパン屑を拾う)ことができない、さらに進行すると、財布の小銭も見なければつかめないといった状態になります。また、この頃になりますと、親指の付け根の筋肉が痩せてしまいます。

自己診断のポイント

夜中(特に明け方)手がシビレて目が覚める。手を振ると少し楽になってまた眠れる。この症状だけでほぼ間違いなくこの病気です。ジンジンしているときに小指と薬指に注目してみてください。小指と薬指の小指側半分が何ともなければ間違いなくこの病気です。

解説

手根管症候群は女性の手のシビレでは一番ポピュラーなものです。 指を曲げる筋肉は、爬虫類では、手のひらにあります。筋肉は、長いほど大きなちからが出せます。ヒトは、木にぶら下がるようになって特に大きな力が必要なため、指を曲げる筋肉は、長くなり、前腕にあります。筋肉から、長い腱が指まで伸びているのです。親指を除く4本の指の屈筋の腱は手首のところで束ねられて、8個の小さな手根骨で作られたトンネルを通ります。このトンネルは、手根横靭帯という靭帯で蓋をされています。正中神経という、親指から、薬指半分の手のひらの感覚を伝える神経も、このトンネルの中で保護されています。

ところが、このトンネルが人によってはとても狭いのです。どうして中年の女性にこの病気が多いのか正確には解明されていませんが、ちょっとしたホルモンバランスの狂いから、軽いむくみが起こるのだろうと思われます。このトンネルの中で正中神経が締め付けられてしまうのです。これがこの病気の本体です。手を握りしめる動作は、この屈筋腱に緊張がかかりますから、神経の締め付けが強くなるのだろうと思われます。人は、眠っている間、手を握っていることが多いようです。それで、夜間、とくに明け方、シビレの症状が強くなるのだろうと思われます。時に、甲状腺機能低下症や、糖尿病、アミロイドーシス、末端肥大症など治療を必要とする全身の病気が裏に隠れていることもありますので、注意が必要です。

治療

治療の第一は安静です。手を使わないようにします。ビタミン剤が有効なこともありますが、あまり期待はできません。シビレ・痛みが強くて不眠になるほどの場合、すでに感覚が鈍くなって細かいものがつまめないような場合、あるいは、親指の付け根の筋肉が痩せてしまったような場合には、急いで手術を受けた方がよいでしょう。手術は、局所麻酔で10分程度で終わります。

出典 橘滋國『シビレを感じたら読む本』、講談社、2012

もっとシビレについて知りたい方は、私が執筆している『シビレを感じたら読む本』に詳しく書いています。クリニック1FのマーラマやKタワー1FのPAOLAでも販売しています。

脊椎脊髄外科顧問 橘 滋國

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