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シビレの原因 その2

2012/10/01

前回はシビレの原因として、糖尿病などの全身の病気が陰に隠れていることがあるので注意が必要なことや、不自然な格好で寝込んだりしたときに起こる圧迫による神経障害は一晩で起こりますが、回復には早くても3ヶ月かかるということをお伝えしました。今回も引き続き、シビレが起こる病気についてご紹介します。

局所の病気

絞扼性(こうやくせい)神経障害

とても厳めしい医学用語の病気で恐縮ですが、手足のシビレのほとんどはこの病気によるものです。手足の感覚を伝える神経は、脊髄のすぐそばに神経細胞があります。末梢の皮膚までは軸索という突起で連絡しているのですが、神経細胞の大きさから考えると、この軸索は天文学的に遠方の情報を収集することになります。この長い道のりには、それこそ山あり谷あり、険しい場所がいくつもあります。それは、関節だったり、筋膜だったり、骨と靭帯とでできたトンネルだったりするのです。こういう場所で神経が締め付けられると、シビレの原因になります。

ここでは、有名な絞扼性神経障害の名前だけを上げておきます。
胸郭出口症候群・手根管症候群・肘管症候群・ギオン管症候群・感覚異常性大腿神経痛・足根管症候群・中足骨痛などなど多くのものがあります。

脊髄・神経根障害

約350万年前にサルの仲間から訣別し、2本足で歩くようになったアウストラロピテクス・アフリカヌスは450グラムの脳を持ち、手の自由を手にいれました。しかし、手を使えば使うほど大脳は発達し続けました。石器を使い、言葉を持ったため、初の人類として認められた250万年前のホモ・ハビルスの脳は646グラムに、さらにホモ・サピエンスを経て我々の脳は1,500グラムまで重くなってしまいました。四足動物では、手足の水平方向の連絡だけを受け持っていた脊柱が、首では頭という、とてつもなく重くなったお荷物を、腰は上半身全部の重さを担いで歩かなければならなくなったのです。さらに、この脊椎は、ヒトの体の柔軟な運動をも面倒みなければなりません。
現代の人類では、脊椎に対する負担増は、限界に達しています。重力に絶え切れなくなった椎間板は破壊され、脊椎管内にはみだしてしまいます。これがいわゆる椎間板ヘルニアです。この椎間板ヘルニアは、腰椎で有名ですが、頚椎にも起こります。動きの少ない胸椎に起こることはとても希です。
はみだした椎間板が神経に触ると、神経根や、頚椎では脊髄にも障害を起こし、シビレの原因となります。
この他、脊髄を圧迫する病気として、脊柱と脊柱を連絡する靭帯に骨ができて育ってしまう靭帯骨化症というむずかしい病気があります。この靭帯骨化症で一番多いのが、後縦靭帯骨化症でこの病気の発生は人種に差があり、不幸なことに日本人には多く起こります。日本人を集めレントゲン撮影しますと、100人に4~5人はこの病気を持っているほど多いものですが、神経の圧迫を来すほど大きくなることはずっと少なくなります。この病気は現在も研究が進められていますが、その原因が掴めず、厚生省の難病(特定疾患)に指定されています。しかし、今日では治療に関しては進歩していますので、この病気になったからと云って落胆する必要はありません。

今回は詳しくご説明しませんが、その他の局所の病気としては、腫瘍が原因で脊髄圧迫をしている例や、大脳の脳出血によるシビレなどがあります。

出典 橘滋國『シビレを感じたら読む本』、講談社、2012

もっとシビレについて知りたい方は、私が執筆している『シビレを感じたら読む本』に詳しく書いています。クリニック1FのマーラマやKタワー1FのPAOLAでも販売しています。

脊椎脊髄外科顧問 橘 滋國

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