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脊椎・脊髄に関連した歴史 (コーヒーブレイク)

2014/11/1

ちょっと疲れましたね、皆さんはどうでしょうか?
肩のこった方は、腕を伸ばして思いっきり背伸びをしてください。この辺で、コーヒーブレイクにしましょうか。

-エッ、お茶の方がいいって?
…どうぞご自由に!でも、読者の皆さんにはお茶を差し上げられないので、自分で入れてくださいね。

今回は『脊椎と脊髄に関連した歴史』のお話、2千年の流れを10分くらいでざっと眺めてみましょう。
試験には出ませんので、気楽に聞いてください。

古代ギリシアの医学

皆さんは「ヒポクラテス」という名前を聞いたことがありますか?

古代ギリシアで活躍した有名なお医者さん、『医学の父』とも呼ばれているすごく偉い人です。
歴史の本によると、古代ギリシアではしばしば戦争や争い事がありました。戦士がけがをして背骨が折れてしまうと、手足の麻痺が起こる、そして折れた背骨を治すには、安静に保つことが必要であると、ヒポクラテスは記載しています。
さらに彼は、骨折を治すためのベッドを考案しています。
現代でも立派に通用する『脊髄損傷(せきずいそんしょう)』の治療法ですね。

今から2,400年も昔の話、驚きですね。
(イラストは「Cyber Museum of Neurosurgery」より)

古代インカ帝国の穿頭術

「マチュ・ピチュ」の名前を知っている方は多いと思います。標高2,400mのアンデス山麓にあるインカ帝国の遺跡です。インカ帝国が最も栄えたのは15世紀頃でしょうか。
インカでは古くから穿頭術(頭蓋骨に穴を開ける手術)が行われていました。インカの遺跡からは、穿頭術に使われた黒曜石のノミや銅製のナイフとともに、人為的に穴の開けられた頭蓋骨がたくさん出土しています。
宗教的な意味合いが強かったと考えられていますが、一部は治療目的で穿頭術が行われたと推定されています。

マチュ・ピチュの遺跡に画かれた壁画から想像すると、麻酔薬にコカの葉をかみながら治療が行われたようですから、想像するほどは痛みを感じなかったのかもしれません。

それにしても、500年も前にアンデスの山麓で行われていた穿頭術、これも驚きですよね。

近代医学の進歩

レントゲンを発見したのはドイツの物理学者ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンです。1895年のことでした。彼はこの功績により第1回ノーベル物理学賞を受賞しています。
CTスキャンはイギリスの技師ハンスフィールドの発明(1972年)、MRIはアメリカのローターバーとイギリスのマンスフィールドの功績と言われています(1977年)。CTもMRIも当たり前のように使われていますが、画像診断が進歩したのはつい最近のことなんですね。

1800年代の終わり頃から、脊椎手術が少しずつ報告されるようになってきました。脊椎の手術が今のスタイルに変わってきたのは、手術用顕微鏡の導入と脊椎の固定技術(インスツルメント・サージェリー)の発達に負うところが大きいと思います。
手術用のナビゲーションも実用化されています。今、注目されているのは、再生医療と医療用ロボットでしょうか。今後の発展が楽しみですね。

同連載は、当院ホームページ「話題の病気・予防」のコーナー(http://www.kameda.com/patient/topic/index.html)でもご覧いただけます。
「バックナンバーを読んでみたい!」という方は、ぜひこちらのコーナーをご活用ください。

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫