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後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症

2014/10/15

後縦靱帯骨化症、黄色靱帯骨化症 (こうじゅうじんたいこっかしょう、おうしょくじんたいこっかしょう)

-今まで背骨の仕組みや働きについてお話ししてきましたが、話を簡単にするために「靱帯」には触れないできました。

背骨(せぼね)や神経が主役だとすると、靱帯はそれを支える脇役、しかも無くてはならない名脇役です。普段は地道に背骨を支えていますが、靱帯にカルシウムが沈着すると困ったことになってしまいます。

今回は「脊椎靱帯骨化症」のお話です。
頚椎後縦靱帯骨化症は1960年に日本で発見されました。日本を初めとする東洋人に多い病気で、治療が大変難しいので、厚生労働省の「特定疾患」に指定されています。

セキツイ靱帯の解剖と靱帯骨化症の症状について

背骨は「椎骨(ついこつ)」と呼ばれるブロック状の骨が、いくつも積み重なって構成されています。そして、椎骨と椎骨の間には椎間板があります。上手に積み木を積み重ねたみたいですね?
でもそれだけだと、背骨はバラバラになってしまいます。この椎骨と椎骨を結びつけているのが「靱帯」です。
靱帯は丈夫な線維の束で、脊椎にはいくつかの種類があります。
図を見てください。椎体の前にあるのが前縦靱帯、後ろにあるのが後縦靱帯です。幅の広いテープのような形をしていて、頚椎から腰椎までつないでいます。一方、黄色靱帯は膜のような形をしていて、椎弓と椎弓をつないでいます。

これらの靱帯に石灰(カルシウム)が沈着して、分厚くなってしまうことがあります。
脊髄と靱帯の位置関係をよく見てください。後縦靱帯や黄色靱帯は脊髄に接していますね。ですから、これらの靱帯が厚くなると、脊髄を圧迫するようになります。
脊髄が障害されると手足のしびれ、巧緻運動障害、歩行障害、排尿障害など脊髄症状が進行してきます。

脊柱靱帯骨化症の中で最も頻度が高いのが「後縦靱帯骨化症」で、骨化巣の形態によりいくつかのタイプに分類されています。
はじめにお話ししたように日本人に多く、発症には遺伝的素因が関連している可能性があります。糖尿病との関連も指摘されています。
骨化巣が小さなうちは無症状のことも多く、症状があっても急速に進行することは少ないので、あわてて手術を受ける必要はありません。
軽微な外傷で症状が急速に悪化することがあります。転倒などには十分注意してください。
脊髄症状が進行する場合には、外科的治療が必要になります。治療のタイミングや治療方法の選択は少し難しい判断になります。専門医にご相談ください。

「脊柱靱帯骨化症友の会」でも情報を提供しています。(http://hp.kanshin-hiroba.jp/chibasekichu/pc/新しいウィンドウで表示します)

Hさんの経過

65歳までは全くお元気でしたが、転倒をきっかけに寝たきりとなってしまいました。地元の病院では治療ができないとのことで、ご家族が当院に相談にいらっしゃいました。

術前のMRI、CTスキャンでは著明な骨化巣を認め(骨化巣はCTでは白く、MRIでは黒く描出されています)、脊髄がペチャンコにつぶれています。そこで、頚椎の前方からと後方からの2回の手術を行いました。

リハビリ後、日常生活ができるまでに改善し、ご自宅へ退院されました。

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫