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頚椎椎間板ヘルニア

2014/10/1

-第4話で腰椎椎間板ヘルニアの話をしました。ちょっとだけ、おさらいをしておきましょう。

椎間板は外側を取り巻く線維輪(せんいりん)と軟らかな髄核(ずいかく)でできていて、衝撃を吸収するクッションの役割をしています。そして、このクッションカバー(線維輪)が破れて、中の髄核が飛び出したのが「椎間板ヘルニア」でしたね。

今回は「頚椎椎間板ヘルニア」の話をしましょう。どんな症状が出て、どんな治療が必要なんでしょうか、よ~く聞いてくださいね。

頚椎椎間板ヘルニアの症状(Nさんの話)

介護の仕事をされているというNさん。仕事の後、寝違えたような首の痛みを自覚。その後、右手に激痛が走るようになり、近くの病院を受診。そこでは鎮痛剤で様子を見てくださいといわれたそうです。
ところが、症状が良くならないばかりか、最近箸が使いにくくなり、足が突っ張って歩くのも困難になってしまいました。ご主人に支えられるようにして、脊椎脊髄外科のオープン外来(予約外外来)を受診されました。

右手にビリビリしたいやな痛みがあり、右上肢の筋力は低下、握力は6kg、10秒テストも7回しかできません。足の腱反射は著明に亢進していました。技師さんにお願いして、すぐにMRIをとってもらいました。大きな椎間板ヘルニアが脊髄を圧迫していました。

-いつ手術をしたら良いでしょうか?

「今でしょ!」

-さすがO君、期待どおりの答えです。
第11話でお話ししたように、脊髄や神経はいったん障害されると回復が難しくなってしまいます。麻痺が進行している場合には、できるだけ早期に手術をして、脊髄の圧迫を取り除いてあげる必要があります。

頚椎椎間板ヘルニアの臨床症状と治療方針について

頚椎椎間板ヘルニアは比較的若い方に多い疾患です。ヘルニアは左右どちらかに片寄って脱出することが多く、脊髄から出てくる神経が圧迫されると、その神経の支配領域だけに痛みやしびれなどの症状が現れます(「神経根症」と呼んでいます)。
しびれている場所を聞くと、どの神経が傷んでいるのかおおよその診断がつきます。ところがNさんのように、ヘルニアが後方に突出すると、脊髄が直接圧迫されるために、脊髄症状(上下肢のしびれ、巧緻運動障害や歩行障害など)の原因となります。

症状が軽ければ頚部カラーや消炎剤などで保存的に経過を見ます。約80%の方は保存的治療により症状が改善すると言われています。保存的治療でも症状が改善しない場合には、「頚椎前方除圧固定術」とよばれる手術が適応となります。
すでに脊髄症状が出ていたり、麻痺が進行したりする場合には、早めの手術が必要です。

-Nさんはどうなったかですって?

ご安心ください。症状は改善し、もとの仕事に復帰されています。術後の写真を見てください。
MRIでは脊髄の圧迫はすっかり無くなっています。傷んだ椎間板の代わりにケージが挿入されています。

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫