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頚椎症性脊髄症

2014/9/15

脊椎変性疾患ってどんな病気か覚えていますか?

「はい、背骨や椎間板や靱帯が神経を傷めちゃう病気です!」

その通り、よく覚えていますね。
背骨の重要な働きの一つに「神経の保護」がありましたね。脊椎とその周辺組織(椎間板や靱帯)が傷んでくると、本来保護しているはずの神経を逆に圧迫したり損傷したりするようになります。これを「脊椎変性疾患」と呼んでいます。

腰椎変性疾患の代表は「腰部脊柱管狭窄症」でしたが、今回お話しする「頚椎症性脊髄症」は頚椎変性疾患の代表格です。

頚椎症性脊髄症の症状(Tさんの話)

外来に現れるなりいきなり、「手がしびれておいねー」とTさん。今年70歳になるTさんは、現役で稲作農家をしています。稲刈りが終わるまではと我慢していたのだそうです。

Tさんのお話をまとめると、「5年前から右手のしびれを自覚、その後しびれの範囲は徐々に拡がり、2年前から左手、両足もしびれるようになった。最近は箸が使いにくく、字が下手になった。階段を下りるのが怖くなり、転びやすくなった。トイレが近くなり、残尿感がある」という経過でした。MRIでは第3~6頚椎(C3~6)が変形して脊髄を圧迫していました。

頚椎症性脊髄症は高齢者(70歳以上)に多い病気です。手足がしびれてきたり、動きが悪くなったりします。上肢症状としては「箸が使いにくい、ボタンがかけにくい」など、細かな作業が難しくなるのが特徴です(巧緻運動障害)。

症状が進行すると歩行障害も起こってきます。頚椎症性脊髄症では足が突っ張った感じの歩き方になるため(痙性歩行)、最初に階段の上り下りが困難になってきます。また頻尿・尿漏れ・残尿感など排尿障害が起こることもあります(神経因性膀胱)。
多くの場合、症状はゆっくり進行しますが、転倒などにより急激に悪化することがあるので注意が必要です。

椎弓形成術について

まずは薬や頚部カラーを用いた保存的治療を行いますが、それでも症状が進行する場合には手術治療を検討します。
狭くなった脊柱管を拡げて、圧迫されている脊髄を楽にしてあげるのが手術の目的です。脊髄や神経はいったん障害されると回復が難しく、せっかく手術を受けられても期待通りの効果が得られなくなります。

私たちは頚椎症性脊髄症や後縦靱帯骨化症に対して「椎弓形成術」という手術を行っています。
(後縦靱帯骨化症の手術方法については、第13話で詳しく説明します)
全身麻酔で行う手術ですが、手術時間は2~3時間程度です。手術用顕微鏡を用いて行いますので、比較的安全に手術を行うことができます。独自に開発したセラミックスペーサーを使用しています。

手術の時期や方法などに関しては、担当の脊椎脊髄外科医にご相談ください。

同連載は、当院ホームページ「話題の病気・予防」のコーナー(http://www.kameda.com/patient/topic/index.html)でもご覧いただけます。
バックナンバーも読めるようになっておりますので、ぜひご活用ください。

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫