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頚椎の仕組みと働き

2014/9/1

このシリーズもちょうど10回目になりました。皆さん、背骨の病気について理解できたでしょうか?
次の話を始める前に、ここでちょっとだけ復習をします。

背骨は1本の骨ではなくて、「椎骨」と呼ばれるブロックの形をした骨が積み重なってできていましたね。これを頭の方から順番に、「頚椎」「胸椎」「腰椎」、そして一番下の大きな骨を「仙骨」と呼んでいます(第2話)。背骨の中を「脊髄」と呼ばれる太い神経が通っています。太いと言っても皆さんの親指くらいの太さですよとお話ししました(第1話)。

前回まで腰の病気についてお話ししてきましたが、今回から4回にわたって「頚椎と頚髄(けいついとけいずい)」、首の病気についてお話しします。

頚椎と頚髄の仕組み

最初に「頚椎と頚髄」の解剖(仕組み)について簡単にお話しします。
頚椎は背骨の中でも一番頭側にあり、重たい頭を支えています。

イラストを見てください。図1は頚椎を右斜め後ろから見たところです。頚椎の椎骨の数は7つでしたね、覚えていますか?
ネズミでもキリンでも頚椎は7つの椎骨でできているとお話ししました。図ではC1~7と番号が振ってあります。頚椎のことを英語でCervical spineと呼びます。そのため頚椎をCと略します。
ちなみに胸椎はT、腰椎はL、仙骨はSです。知らなくても大丈夫ですが、知っていたらちょっとかっこいいですね。

今度は図2を見てください。頚椎をスパッと水平に切った断面図です。
椎骨の前の部分は缶詰のカンのような形をしていて「椎体」と呼ばれています。そして後ろの部分は弓のような形をしているので「椎弓」と呼んでいます。椎体と椎弓で囲まれた空間が有るのがわかりますか?
この空間を「脊柱管」と呼んでいますが、脊髄はこの脊柱管の中に保護されています。

頚髄障害の症状

第3話でお話しした「脊髄障害の症状」を思い出してください。「脊髄の役割は情報を伝えること。ですから、脊髄が痛むと大切な情報が伝わらなくなってしまいます」とお話ししましたね。

運動の情報が伝わらなくなると、手足の麻痺や筋力が低下してきます。私たちの手は繊細な感覚を持ち、とても複雑な働きをしています。
頚髄が障害されると、両手のしびれに加え、箸が使いにくい、字が下手になった、ボタンが留めにくいなど、細かな作業ができにくくなります。
これを「巧緻(こうち)運動障害」と呼んでいます。そして、歩行障害も頚髄症状の一つです。頚髄が障害されたときの歩行障害は、階段を下りるのが怖くなったり、ちょっとした段差につまずいて転倒しやすくなったりします。
「歩行障害の原因は腰」と簡単に考えず、「頚椎の病気」も考えてみる必要があるかもしれませんね。

10秒テスト

巧緻運動障害があるかどうか、簡単にできるテストがあります。
グー、パーをできるだけ早く繰り返し、10秒間で何回できるか調べるテストです。簡単なテストですが、きわめて鋭敏なテストです。皆さんも試してみてください。

何回できましたか?
30回以上できたら全く問題有りません。これが20回以下だったら、巧緻運動障害の可能性があるかもしれません。

手がしびれたり、細かな作業がしにくいなと感じたら、一度脊椎脊髄外科を受診されることをお勧めします。

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫