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腰痛との正しいつきあい方(腰痛の話その2)

2014/8/15

-第8話に引き続いて腰痛の話をします。

急性腰痛の対処法

第8話でお話ししたような『危険な腰痛のサイン』がある人は早めに病院を受診してください。「危険な腰痛のサイン」がなければ、無理に受診する必要はありません。
急性期は楽な姿勢で安静にしてください。市販の湿布薬を貼ったり、鎮痛剤を服用していただいてもかまいません。腰椎コルセットを使用する場合には、布製の柔らかめのものを使用します。
重篤な病気がなければ、腰痛そのものをあまり怖がる必要はありません。腰が痛いときに無理に動き回る必要はありませんが、逆に用心しすぎて横になってばかりでは回復が遅れてしまいます。

腰痛に関する声明(バックレター)

急性腰痛についての有名な声明を紹介します。「腰痛に関する国際フォーラム(1995年、シアトル)」で報告されたもので、バックレター(腰痛への手紙)とも呼ばれています。

  1. 1 .ほとんどの患者さまは、1~2週間以内に腰痛は大幅に軽快する。ただし、軽度の不快感が1~3ヶ月程度続くことがある。
  2. 2 .ほとんどの患者さまは、その後の経過中に腰痛の再発がみられる。再発は一般的なもので、状況が悪化したことを意味するものではない。
  3. 3 .患者さまの4人のうち1人程度は1年後も腰痛が持続する。不快な腰痛が持続する場合は、通常の日常生活と規則正しい運動再開が重要である。
  4. 4 .通常の日常生活を再開した患者さまは、これらの活動を制限した患者さまよりも自分の健康状態を高く評価しており、薬剤の使用量も、心理的ストレスも少ない。

英語で書かれた声明を日本語訳したものですので、少しわかりにくいところもあるかと思います。要約すると「ほとんどの腰痛は1~2週間で改善しますが、それ以上長引いたり再発したりしても、あまり心配することはありません。早めに普通の日常生活に戻した方が、予後はいいですよ」ということだと思います。

職業と腰痛

欧米では若年者の腰痛が社会問題になっています。アメリカでは労働人口の約2%が毎年腰痛のために社会保証を受けており、腰痛に対して社会が支払った費用は2兆円以上、45歳以下の人々の就業不能の最も多い理由となっています。


当院では理学療法士(PT)の多田幸代さんが「看護師の腰痛」について調査してくれました。この結果は「看護師における腰痛関連要因の検討 第1~3報」として権威あるJournal of Spine Researchという雑誌に報告されています。


少し詳しく紹介します。
多田さんの報告では看護師さんの腰痛有病率はなんと42.9%、5人に2人が腰痛に悩まされているという結果でした。この割合は他職種の約2倍になります。世代別に見てみると、20歳代では38.5%、30歳代では49.2%と、年齢を重ねるに従って腰痛の割合が増えていました。生活関連の要因としては子育て、運動不足、喫煙などが腰痛のリスクファクターとなっていました。
業務の内容とも関連しており、中腰での作業、体をねじる作業、重量物の運搬、トランスファーなど腰に負担をかける作業が多い部署ほど腰痛の割合は高率でした。

腰痛体操などのエクササイズにより、背骨を支える筋肉(腹筋や背筋)を維持することは重要です。また、部署ごとにどうしたら腰痛を予防できるか、作業内容を見直してみることも必要かもしれません。

同連載は、当院ホームページ「話題の病気・予防」のコーナー(http://www.kameda.com/patient/topic/index.html)でもご覧いただけます。

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫