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腰椎すべり症と変性側弯症

2014/7/1

―「先生、母が腰が痛くて足がしびれるので、近くの病院で見てもらったら『すべり症』って言われたらしいんです。大変な病気なんですか?」とスタッフのAさん。お母様は60歳だそうです。

今回は少し難しい手術、「腰椎すべり症と変性側弯症」についてお話しします。

腰椎すべり症

背骨は椎骨というブロックが積み重なってできている、そして背骨の一番大事な役割は「体を支える(支持)」ということは皆さんすでにご存じですね。
このブロックとブロックの位置がずれてしまって、毎日の生活に支障を来した状態が「腰椎すべり症」です。

腰椎すべり症には、脊椎の分離が原因で起こる「分離すべり症」と、老化による変性で起こる「変性すべり症」があります。「分離」とは脊椎の骨の一部が離れてしまうもので、レントゲンでは関節突起間に隙間が認められます(イラストの丸で囲んだところが「分離」しているのがわかりますか?)。小児期のスポーツなどによる「疲労骨折」が原因と言われています。
腰椎すべり症の症状で最も多いのが腰痛です。長時間立ちっぱなしだったり、重労働した後に腰痛が強くなります。椎骨がすべることによって、脊柱管狭窄を来し(第5話を見てください)神経を圧迫するようになると、下肢の痛みやしびれが出てきます。
分離症やすべり症はレントゲン検査で診断できます。神経の圧迫の程度を評価するには、MRIや脊髄造影など詳しい検査が必要になります。

症状が軽いうちはコルセットを使用したり、鎮痛剤で痛みを抑えるなど保存的治療で様子を見ます。それでも治らない場合には手術治療を検討します。
間欠性跛行や排尿障害がある場合には、手術を考えていただいた方が良いと思います。
症状が腰痛だけの場合には難しい判断になりますが、腰痛のために仕事や生活に支障をきたしている場合には手術治療を考えても良いでしょう。スクリューやケージを用いた「腰椎椎体間固定術」が必要となります。いろいろな材質・形のスクリューやケージが考案されており、また様々なスクリュー挿入テクニックが報告されています。その患者さまに合った固定法を選択します。

Aさんのお母様は無事手術を終え、現在は元気に仕事をされています。第4腰椎と第5腰椎の2カ所が分離していたため、スクリューとフック、ケージを用いた固定術を行いました。

多椎間変性・腰椎変性側弯

第2話でお話ししたように、背骨は横から見るとカーブしていますが(これを「生理的弯曲」といいましたね。覚えていますか?)、前から見ると基本的にはまっすぐです。
ところが腰椎の変性が進むと、腰の骨が横に曲がってきたり(「変性側弯症」といいます)、多椎間レベルで不安定性が出てきたりします。お年をとられた方に多く見られる病態ですが、高齢者では骨がもろくなっていることもあり(これを「骨粗しょう症」と言います)、少し難易度の高い手術になります。担当の脊椎脊髄外科医とよくご相談ください。

写真は多椎間病変に対する「矯正固定術」を行ったものです。

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫