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しびれは神経の悲鳴!

2014/5/15

「先生、脊髄が傷むとどんな症状が出てくるんですか?」

-いい質問です。それではまず脊髄や神経の働きを試してみましょう。

右手でピースをしてみてください。
・・・出来ましたね。ピースサインを出すように命令したのは皆さんの頭(正確には「脳」)です。その命令が脊髄、そして末梢神経を経由して指の筋肉に伝えられたわけです。

「情報を伝達する」、これが脊髄や神経の役割です。いろいろな情報を伝達していますが、最も重要な情報は「運動」と「感覚」です。
運動の情報は頭から手足の筋肉へ、感覚の情報は逆に末梢から頭へと伝えられます。

第3話は「しびれは神経の悲鳴!」というお話、ちょっとミステリアスなタイトルです。

脊髄障害の症状

脊髄の役割は「情報を伝えること」ですから、脊髄が傷むと大切な情報が伝わらなくなってしまう、あるいは誤った情報が伝わってしまうことになります。
運動情報が正確に伝わらないと、手足の麻痺や筋力低下をきたします。症状が軽い場合には、箸を使ったり、ボタンを留めたりというような、細かな作業がしにくくなります(これを難しい言葉で、「巧緻(こうち)運動障害」と呼んでいます)。

もう一つは歩行障害です。階段の上り下りがこわくなったり、ちょっとした段差につまずいてしまう、これは頚椎症性脊髄症や脊髄損傷など脊髄が障害されたときよく見られる症状です。
そして、感覚情報が正確に伝わらなくなると、感覚が鈍くなったり手足がしびれたりしてきます。患者さまには「しびれは神経の悲鳴です」とお話ししています。つまり、しびれがあるということは、どこかで神経が障害されていることになります。

「じゃあ、しびれがある人はみんな脊髄が悪いんですか?」
-鋭い質問ですね。

「しびれは神経の悲鳴」とお話ししましたが、実は脊髄疾患以外にもいろんな病気でしびれが出てきます。
例えば、糖尿病、アルコールや薬物の影響、ホルモンの異常など、内科的な病気でもしびれがおこります。
そして、脳の障害、脊髄の障害、末梢神経の障害でも、それぞれに特徴的なしびれの分布を示します。

-イラストを見てください。

内科的疾患では多くの場合、「手袋靴下型」と呼ばれる手足の末梢に強い左右対称性のしびれを訴えます。
ところが脳卒中(現在は「脳血管障害」と呼ばれています)など脳の病気では、体の右半分または左半分だけがしびれるようになります。そして「手根管症候群」などの末梢神経障害では、その神経の支配領域に限局したしびれを訴えます。

脊髄由来のしびれの特徴については、第4話以降に改めてお話しします。

どこにしびれや痛みがあるのか、首や手を動かすとしびれはどんな風に変わるのか、巧緻運動障害や歩行障害はあるのか、腱反射はどうかなど、丁寧に神経症状を診察することによって、どの神経が、どこで、どんなふうに障害されているのか、ほとんどの場合診断することができます。

-何だか推理小説を解くみたいでしょ?

脊椎脊髄外科部長 久保田 基夫