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がん・生殖医療(妊孕(にんよう)性温存)への取り組み

2017/1/16

はじめまして、臨床心理士、生殖心理カウンセラー、がん生殖専門心理士の宮川と申します。

今回は生殖医療科の特徴の一つである、がん・生殖医療への取り組みについてお話しします。

がん・生殖医療とは

近年、医療の進歩により、がんを克服し、日常生活に戻られる患者さまが増えてきたと共に、若いがん患者さまの場合、がん治癒後に妊娠・出産を望まれる方も多くなりました。しかし、がん治療の影響によって将来子供を持つことが難しくなることがあるため、希望のある患者さまには、がん治療の前に、卵子や精子、受精卵、卵巣組織を凍結しておき、将来妊娠できる可能性を残す治療が行われるようになってきました。

がん治療が終わり、主治医の許可が出て妊娠を希望する時に使用して妊娠を目指します。これを「がん・生殖医療(妊孕性温存)」と呼んでいます。

亀田総合病院でのがん・生殖医療

当院では、2005年に男性がん患者さまの精子凍結を開始し、2007年から女性がん患者さまの卵子凍結・受精卵凍結、今年度からは卵巣組織凍結を行っています。同じ病院の中にがんの診療科と生殖医療科があるため、がんの検査や診察にあわせて受診できることが特徴です。患者さまのなかには遠方の方やお仕事のある方も多くいらっしゃるため、できるだけ負担が増えないよう配慮しています。

がん・生殖医療を希望された場合、先ず、心理士がカウンセリングを行います。カウンセリングでは丁寧に情報提供を行い、患者さまが気持ちや考えの整理をして、ご自身で決定できるように支援しています。じっくり考えていただいた後に希望に応じて生殖医療科を受診していただくことで、患者さまのご希望に沿った医療を提供できるように努めています。

がん・生殖医療の特徴

患者さまは、がん告知後まもなくがん・生殖医療について情報提供を受けるため、限られた時間の中で、がん治療と同時に将来の妊娠の可能性についても考えなければなりません。患者さまが既婚の場合にはご夫婦、未婚の場合には親御さんや将来のパートナー、それぞれの意見や関係性も決断に影響します。自分一人の問題ではないため、問題はより複雑です。また、がん・生殖医療を行っても、残念ながら必ずしも子どもが得られるわけではないことも、決断の難しさの一因です。

このように、がん・生殖医療を考える際には様々な難しさがあり、患者さまは大きな精神的負担を抱えることとなります。

一方、妊娠の可能性を残すことで、将来に希望を持ってがん治療に専念できるというメリットもあります。がん・生殖医療は難しい選択ですが、がん治療後の人生を考える上でとても大切なことです。どのような選択をするにせよ、問題としっかり向き合って自分で決断をすることで、その後の人生を自分らしく生きていくことができます。

辛い気持ちを支援しながら、正しい情報提供と考えや気持ちの整理をするお手伝いをすることが私たちの役割です。患者さまが、がん治療に専念し、治療後の人生もその方らしく生きられるよう、今後も生殖医療科一同、お手伝いができればと願っております。

生殖医療科のご案内
亀田IVFクリニック幕張

臨床心理室 宮川智子