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女性アスリートサポート

2017/1/1

こんにちは。生殖医療科の大内です。普段は生殖医療専門医として妊娠に向けてのサポートを行っていますが、並行してスポーツドクターとして女性アスリートサポートも行っています。アスリートのサポートというと、スポーツ外傷や障害に対する整形外科的なイメージが強いかもしれませんが、女性アスリートの健康管理やパフォーマンス向上のためには婦人科的なサポートも実はとても重要です。

女性アスリートの3主徴

女性アスリートが留意すべき3つの項目として「low energy availability:利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗しょう症」があげられます。「low energy availability」とは運動によって失われるエネルギーが摂取されるエネルギーを上回る場合をいいます。以前は「摂食障害」とされていましたが、2007年のアメリカスポーツ学会で新しくこの概念に置き換わりました。つまり、食事量が極端に少なくなくても過度なトレーニングなどにより消費エネルギーが多い場合には「low energy availability」という状態になります。その結果、女性ホルモンを調整する脳の視床下部や下垂体からのホルモン分泌がうまくいかなくなり、「無月経」に発展します。さらに長期間の無月経により低エストロゲン状態が持続すると、閉経後と同じようなホルモン環境になり、低栄養の影響も加わり骨粗しょう症に陥ります。結果、疲労骨折などのリスクが高くなります。競技によってもその頻度は異なりますが、新体操などの審美系のスポーツや陸上長距離においては「low energy availability」の選手の頻度が高いことが知られています。対策として一番重要なのは十分な栄養摂取ですが、すぐの改善が難しい場合には長期間の無月経や低エストロゲン状態を避けるためにホルモン剤を用いて月経コントロールを行います。

女性アスリートと月経

月経時の強い腹痛など、月経困難症を自覚する女性アスリートは少なくありません。市販の鎮痛剤や病院で処方された鎮痛剤を使用しているアスリートがほとんどですが、それでもコントロールが難しい場合もあります。もう一つの選択肢として低用量のホルモン製剤を定期的に内服する方法があります。また、月経周期によるコンディションの変動を自覚するアスリートも多く(図A)、大事な大会と月経が重ならないように月経を移動したり、毎週末試合があるような場合には毎回平日に月経が来るように低用量ホルモン剤を用いて月経をコントロールすることでコンディションを整えることが可能になります。欧米に比べると日本での低用量ホルモン剤の使用率は非常に低いのが現状ですが、副作用に注意しながら上手に取り入れることで女性アスリートのコンディションの改善につながることを、もっと多くの方に知っていただきたいと思います。

まずはお気軽にご相談ください。

図A:能瀬ら、日本臨床スポーツ医学会誌 2014;22:122-127
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亀田IVFクリニック幕張

生殖医療科 医長 大内 久美